眞一郎が乃絵と比呂美のどちらを選ぶのか最終話まで引っ張った「true tears」第13話。主人公の視点で見れば「比呂美を選んだ」と言えるけれども、乃絵の立場では「選ばれない事を選んだ」ような感じでもある。珍しくも普通の(と言うにはアクが強いが)ヒロイン比呂美エンド。
前話から「嫌な女」と自覚するほどの比呂美の行動の演出から、そのまま乃絵エンドかと思っていたが、比呂美の意外な巻き返し。この間の比呂美の変化に眞一郎の心が動かされた描写は無いので、やはりずっと「心の底に湯浅比呂美」がいて、第10話でトラックを追いかけた眞一郎の「全部ちゃんとするから」は嘘ではなかったと言うこと。でも、フラフラ揺れながら手間取った終盤だったけれど、好意的に解釈すれば中高生の世代では良くあることだろう。
演出は感心するところもあるけれど、相変わらず思わせぶり。
特に比呂美に関しては「普通」の部分とよそよそしさを感じさせる暗い部分のブレが大きく、最終回までつかみ所のない感じ。
開脚ストレッチは何の特訓かと思ったが、意味はない。
祭りの翌日の教室、自らの存在を周囲に示すように眞一郎を部屋に誘い「いいよ…」と眞一郎を試す。
「私の涙が綺麗だなんて嘘」「どんどん嫌な子になってく」
これは乃絵の呪いでしょう。
停学事件の後で多少理解し合えた眞一郎の母のブリ大根が比呂美を救った感もある。
「待つのって体力いるのよね…」自分の体験でしょうね。明示はされなかったものの、比呂美の母親と眞一郎父を争った事を暗示している。
血は繋がってないのに良く似ている二人だと思うし、だから眞一郎が惹かれるポイントなのかも。
竹やぶで眞一郎の告白に「嫌っ!」って戸惑いの比呂美の反応は良い演出。
頑なな乃絵に、眞一郎は絵本を紙飛行機に折り海に飛ばす。それを拾い集める松葉杖の乃絵。
タイミング的に被るのは仕方ないが、「ef - a tale of memories.」の千尋の日記を拾い集める蓮治似たシチュエーション。
乃絵に「オレ、比呂美が好きだ」と眞一郎。それは乃絵に真実を見せたことであるし、自分で歩くように背中を押す一言。
映し出す乃絵の背中に、その先の未来を感じさせるスペシャルエンディングにつながる。
これを見ると誰の勝ちってことでもなく、それぞれの道を選ぶことが出来た清々しささえ伝わり見終えることが出来た。この作品の語る「真実の涙」は、人と人の触れ合いに心が震える事から始まるという解釈で良いのだろう。
シスコン純は、妹に「何も知らない事って悪いこと」と言わせたり、比呂美には「あんたは関係ない」と最後まで自分勝手を貫き通したが、都会に就職したかのようなフォローせずに投げっぱなしエンド。ヒールに徹したわけでもなく最終回のからませ方には少々疑問が残るところ。
ヒロインたち学校内だけでなく、家族や兄妹の関係を描く事をおろそかにせず進めた構成は意義あるものだった。コンパクトに1クールに収めたが、2クールでも第二期でも構成できるような幅は持たせている。永谷Pのプロデュース作品第二期って記憶にないが、今度は飛ぶ羽を得た乃絵の成長物語の「true tears」も見てみたいところ。
最終話は堀川さんの古巣のI.Gに仕上げを出している。アニメーション制作はスケジュール管理(行き着くところは製作費なのだが)がきちんとできて、情熱があればここまで出来る事を見せてくれた良いシリーズだった。制作会社としては珍しく地方にあるピーエーワークスが実力を発揮できた事も喜ばしい。バンダイビジュアルの永谷Pの担当作品は「sola」「もえたん」に続き大変満足なのだが、オリジナルに近い作品が多い関係か関連商品の展開が薄いのが惜しいところ。あまり商売っ気ばかりでも嫌なものだが、もっと強力な製作委員会を組んでくれればと思う。
音楽はeufonius の菊地創の劇伴を含めて高水準。
この作品のDVDは是非お奨めしたいが、バンダイビジュアルから他作品のブルーレイタイトルがリリースされ始めたので悩ましいタイミング。出ても何年か先だろうから気にしなくても良いが、この作画ならBDで見たい。




