フミカと文歌の物語を母親の登場で深めて行くかと思ったが、チアキの過去を描く「シゴフミ」第9話。
社会的なテーマに切り込むよりも、シゴフミ配達人の時間を越えてのドラマを描き出すほうがシナリオが冴えている。今回は下田正美のコンテと鈴木行の演出が効いていたのも確か。
チアキが交通事故で死んだのが50年前だから、回想シーンは昭和30年代の雰囲気を出している。ちょっとハートフルな演出得意とする鈴木行とは時代設定と、永遠の愛をテーマをテーマにした話数は大変に相性が良い。今回はコンテ演出でずいぶん救われた。
眠り続ける文歌へキラメキ事件の報告。要と夏香は当然のように同行している。南の島へ休暇の誘いはチアキから。フミカの条件は、行き先は自分が決めると。
南の島の民宿でお風呂と恋バナの女性陣。要とマトマはぎこちない同室。
フミカは隣の無人島に配達仕事を隠しているらしい。同じ民宿に泊まる白河塔子のバッグの中から鎌。殺人なのか誰かが殺されるのか、怪談ネタと前回までの暗い話で予断があるから、こちらはすっかり用心している。
明るい砂浜も水面を駆ける奇妙な二本の杖のシュールさにも笑えない。
しかし今回は陰惨さや悲しさではなく、涙で攻めてきたか…
ボーイフレンドの運転する自動車に同乗していたデート帰りのチアキは、自動車の正面衝突事故で死亡。デートを重ね結婚を口にする時。
白河塔子が訪ねる墓は祖父の清澄才蔵。チアキが反応したその名前は死んだボーイフレンド。
孫がいると言うことは自分が死んだあとに結婚したとチアキの理解。
墓に参り別にそれを恨むでもなく、自分より長い人生を生き逝ったかつてのボーイフレンドの幸せを知り安堵してもいる。
目をやる墓銘碑にはシゴフミの切手と「清澄千章」の名が刻まれている。
白河塔子の「誰だろう、この人。お爺ちゃんずっと独身だったのに…」
フミカが死んだあとも独身を通し、交通事故で両親を失った娘を養女に引き取り育てた、それが塔子の母親。
才蔵からの50年後のシゴフミは、チアキへ言えなかったプロポーズ。
生まれ育った街も変わり、行き場の無かったチアキにも拠り所が出来た。それは本来は自分の墓であると思うのだが、今までどうだったのだろうか?
シンプルな構成だけれども、フミカを上手く役回りさせ舞台をお膳立てしている。
要と夏香は証人役で親族に孫も揃えて、無人島で50年の時を越えたチアキの結婚式を演出した。
時を超え蘇る愛のモチーフが好きだからでもあるが、演出もバランスに優れて今話は手放しで評価する。
無事にキラメキ先生の筆も復活したようで、切り替えて終盤に向かうのだろうか。
シゴフミ配達人を中心に据えたオムニバスであれば、今後も続けられるモチーフだと思う。


