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カテゴリー「紅」の記事一覧

紅 第12話「われ存在り」(最終話)

サブタイは第11話とセットになって、この最終話で見せた紫のアイデンティティーを示す。
九鳳院での紫の自立、未来に余韻を残して引いたが、連載中の原作との兼ね合いからか、破滅もしくは幸福いずれにしても決定的な結末は迎えられないのだろう。
一抹の寂しさを感じさせるのは、ずっと後ろにいたと思っている紫が同じ位置にいて、未来を切り開こうと言う輝きがまぶしいからか、それとも九鳳院に取り込まれてしまう不安があるからか、なぜだろう?
少年は非日常の世界で、守るべき対象の少女に出会った。自分の生い立ちや境遇を紫に重ねて、同情を使命にすり替えたのだとしても、少年の純粋さで紫を見つめてきた。
ところが一旦九鳳院に戻った紫の、この最終話で見せた大人びた冷静な判断に戸惑ってしまう。
しかしそれに対して真九郎は大きな動揺を見せないし、蓮丈もいやに物分りの良さを見せている。
少女が少年を、娘が父親を乗り越えようとする瞬間の驚きが、この世界から伝わってこない。
これは残念な演出と言うよりは、非日常のこの世界では真九郎も蓮丈も覚悟を決めていたのだと思うのが妥当なのだ。

九鳳院の掟に従い、蓮丈の子を授かり死んでいった実妹の蒼樹。しかし奥の院の女である前に、一人の女として蓮丈を愛して死んだ蒼樹。明かされた事実の前に、自らを九鳳院の生贄と自嘲しながらも、女としての敗北を感じる和子。今まで九鳳院と淡々と接してきた和子の自尊心が崩れる様は、ある意味美しい。
真九郎も蓮丈も、かくも特殊キャラクターの女たちの中で生かされている。
揉め事処理屋とか九鳳院財閥とか異様な環境でも、その居心地の良い繭のような殻から男たちが抜け出す始まりの物語に過ぎない。
そして「奥の院の女」としてではなく「九鳳院の娘」としての紫の戦いはこれからだ。
松尾衡は父娘の戦いとして双方に救いもしくは希望をもたらしたのだが、彼らの人生のプロローグ、いわば「九鳳院編」のラストとして好ましい。

カーチェイスやバトルは真九郎と蓮丈が向き合った重苦しいシーンのBGMのようなもの。弥生や紅香の回復力の強さには違和感あるけど。
前回で弥生と真九郎の二人は紅香から伝えられた技で戦い、リンと竜士に見切られていた。今回のリターンマッチでは真九郎は崩月流で竜士を、弥生は真九郎から盗んだその崩月流でリンを叩きのめした。紅香を刺した竜士に対し、真九郎の角は反射的に出たが、普段押さえ込んでいても平常心を失うと出てくるのだろうか。

紫の意思を尊重し、蓮丈の遺志も潰えていない事を確認した紅香たちは九鳳院家を撤収。
五月雨荘の闇絵に環、学校の夕乃に銀子と、真九郎の日常が戻ってくるのだろうが、彼の戦いは続く。
短いシリーズの尺では崩月流と彼の過去も簡単だったし、銀子との関係、弥生のキャラ掘下げなど足りないところも合ったが、真九郎と紫にフォーカスしてバックに九鳳院を映す取捨選択の結果は間違いなかったと思う。
この真九郎の日常と新たな紅香の依頼での事件で新シリーズも出来るのではないか?原作との整合性をどうつけるか難しいだろうが、新編を一巡した10年後の九鳳院での紫の戦いの成果を真九郎と共に見てみたいものだと思う。
この出来ならDVDを購入しても後悔する事はないだろう。ポニーキャニオンのDVD価格設定はリーズナブルだ。

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紅 1 ◆予約先着特典:「紅」オリジナルスキミングバリアカード付き(Sofmap.com)

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紅 第11話「われ思考う」

サービスエリアでの真九郎と弥生のボケた会話とか、蓮丈と和子の不思議と自然な夫婦会話シーンを九鳳院での戦いの前に振ってくる配置の妙が好ましい「紅」第11話。
一方的なバトル押しで来ないし、乱戦の中での紫の心情も拾って、最終話前の見ごたえのある出来上がりだった。
竜士との会話で見せる健気な表情、竜士に抱え連れられる時に真九郎に向けた眼差し。
七五三の写真の紫とは違うそれらの表情に、紫を守る約束を改めて噛みしめて屋敷に単身向かう真九郎の意気や良し。男の真価を試される最終回は、真九郎だけではなく蓮丈も同じ。

男たちがもがくなか、守るべきものを持つ女たちは逞しくも輝いている。
亡き蒼樹への忠誠を抱いた女中頭も、紅香への借りと相殺する覚悟でリンと刺し違えた。因習に囚われた奥の院が変わる事を夢見たであろうまま散っていった。地味な役だが倉田雅世が節々で良い演技を見せてくれる。
瀕死の弥生は紅香が奪還したが、再びリンに敗れた屈辱はどこかでフォローが必要だろう。単に敗れただけでなく、紅香の戦法まで見切られていた致命的な敗北なのだから…
リンは単に雇われとしての役回りで終わるのか、彼女の掘下げがないのがもったいないような気もする。ローテンションの演技は良いものの「紅香っ!」と呼び止めるハイなシーンでの植田佳奈の演技は、シゴフミのフミカと同じだったのが残念。

竜士もかなり手強いのだが、その師匠は紅香。そういえば紅香が九鳳院で働いていた過去は、今回が初出だったか。真九郎も腕の角を出したが、これは自由自在に出せるものでもなく、感情と連動しているのだろうか。
最終話での男たちの輝きと紫の笑顔を待ちたい。

脚本・絵コンテ:松尾衡、演出:市村徹夫、作監:ふくだのりゆき・中村深雪・松本健太郎
バトルの多い話数だったけれども、竜士に抱えられながらも真九郎を見る紫の表情が素晴らしかった。
原画に冷水由紀絵がいたが、J.C.を離れたの?

TVアニメ「紅」オリジナルサウンドトラック

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紅 第10話「慣れの恐怖」

「紅」第10話。当たり前のようになってしまった紫との生活を失った真九郎。落ち込むとばかり思っていたが、プロとしての責任と一人の男としてとるべき道とのはざまでもがいている。
真九郎の暴走を監視かたがた、真九郎の技のキレを確かめた後、問わず語りに自分の過去の失敗を明かす弥生。自ら語りだす弥生は珍しいが、まさか死亡フラグではあるまい。
妙に割りきりが良く見える真九郎に失望半分、心配半分の銀子。彼女がデレる日は来るのだろうか?
紫が襲われた時、真九郎が敢えて角を使わなかったの様子は夕乃との会話で察せられるが、その理由は崩月流を隠すためか、思うところがあったのかは曖昧にしている。
闇絵や環にしても真九郎の気持ちを察しながら接しているが、牡蠣は禁断の悪魔の味と言うのは同意。
五月雨荘からの引越しを指図する紅香に対し、九鳳院へ行かせてくれるように頼む真九郎。この二人の五月雨荘でのシーンは、キャラクターの気持ちに合わせて絵が動いているようで素晴らしい。実写ドラマでは難なく撮影するであろうシーンを、アニメーションで表現することの価値はこのあたりに見い出せる。

紅香が失望したのは、古いしきたりと女たちの中で、九鳳院を変革することの出来なかった蓮丈。
紅香が期待したのは、しくじりながらも守るべきもの進むべき方向を見つけようと足掻く真九郎。
その真九郎にしても、周りの女たちの中で生かされている。
この女性たちの中で少年が過去に亡くした想いを取り戻す真九郎、女として人間としての存在を消されながらも外界に触れ変わり始めた紫。この不器用でも真っ直ぐなペアの行き着くところが幸せならと願わずにいられない。
主人公は自らの手でお姫様を取り戻しに悪の館へ向かうわけだが、ラスボスは竜士か前当主か。蓮丈ではあるまい。
この終盤での振る舞いで失望から希望の存在に変われるのか、蓮丈も試されることになるだろう。
ボーイミーツガールの頃を過ぎて、わずかな期間に主人公の真九郎の成長を自然に見せてくれた中盤の緩急つけた展開。終盤にも期待したい。

紅 1

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紅 第9話「貴方と私と」

このテレビシリーズでは監督の松尾衡が絵コンテを全話(一部共同)切っているからか見せ方に統一感がある。
穏やかな日常は緩やかに、緊迫した事態では密度の濃い時間を我々視聴者にも提供してくれ、紫と真九郎の揺れ動きながらも成長する姿とともに作品に参加しているように錯覚させてくれる。
今回はその危機が迫る濃密な時間を我々は共有することになる。

Aパートは強大な九鳳院の力に紫を守る自身を失う真九郎に、紅香の励まし(真九郎を信頼する根拠はどこから生まれたのだろう?)
そして真九郎に明かす九鳳院の秘密、奥の院の女たちの運命と紫の運命。
国外逃亡までの段取りを整えて、Aパートはあっという間。

それで逃げてしまっては話が続かないのは、制作者も視聴者も分かっている。
Bパートは反対する弥生を抑えて、紅香は五月雨荘に一旦戻る事を許可する。
闇絵と環を焼肉パーティーに招待するも、過剰なサービスと不自然な別れ際の紫の表情に闇絵は違和感を感じた風でもある。
案の定、五月雨荘に乗り込んできたリン・チェンシンと一味。弥生は歯が立たず、真九郎も伝家の宝刀は見せないのか見せる間もないのか、何か設定があるのかわからないけれど、一方的にやられるだけ。
兄の九鳳院竜士には恐怖の刷り込みからか、紫は逆らえずに「自ら」九鳳院に戻る選択を余儀なくさせられる。
その前に真九郎は紫を守りたい、紫は真九郎を「大切な人」と母の教えに従いキスする様を見せられているから、意に沿わぬ別れは見ていてつらいものがある。

次回は呆けてしまったか、真九郎。一旦落しておいてから、そこからが終盤の見せ場になるだろう。
エンディング曲は元に戻った。
7月からキッズステーションでも放送されるようだが、ネット局が少ないのが少々もったいない。製作委員会と代理店は、もう少し作品に自信を持って展開しても良いと思う。

紅 1

6/2追記
紫が真九郎へのキスは、松尾監督の絵コンテでは最初は真九郎がおちゃらけるシーンを描いていますが、最終的にはそのシーンはカットして情感ある作りにしたようですね。それで良かったと思います。
http://www.samidareso.com/cgi-bin/blog/staffdiary.cgi#131

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紅 第8話「自愛と臆病と」

九鳳院に居場所を突き止められた紫。七五三のささやかなお祝いの平和な光景の裏側で、九鳳院の裏側も透けて見えてきた「紅」第8話。

和食の蓮丈と洋食の和子の、ちぐはぐで冷え切った九鳳院家の朝食の光景。和子と蓮丈の間には九鳳院を守るためだけの形式的な夫婦関係しか無い。
紫の事を探すのに積極的でも無さそうな蓮丈、それを見透かす前当主と、蓮丈の息子の竜士。
実妹の蒼樹を愛し、その間に出来た紫を奥の院に閉じ込めておく事をためらう蓮丈を置いて、事態が動き出すプロローグを描く。

紫の七五三のお祝いは花園神社ではなく、近くの神社へ。手近なところならと紅香は許可したのだが、弥生からの報告を受ける紅香は目隠し人質にピストルを突きつけながらのシュールなシチュエーション。
五月雨荘のロケーションは大久保の設定だが、五月雨荘の路地から大久保通りに出た先の神社へ参拝。新大久保の皆中稲荷がモデルだと思うけれど、確実ではない。
東京ロケーションボックスが取材協力しているからか、店舗の看板や町並み、街頭の風景などの背景は現実的。

神社で引いた凶のおみくじ、銀子の調査では判然としない紫の存在と九鳳院の強大な力と不安を煽ってから、九鳳院の手先が五月雨荘の前で遂に真九郎に手を出す。
真九郎は「角」を使わなかったが、不意を突かれたからか、それほどの相手ではなかったからか、今後は彼の戦いもシリアスになりそうだ。
「ボロアパートでも住めば都」との前夜の紫との会話があるから、紫の居場所がバレて五月雨荘に居られなくなる真九郎の不安と動揺を増幅して見せてくれる。

紫の着物姿も、九鳳院にいた時とは違い表情も明るく演技もこなれてきている。怪しげな大人の知識を環から詰め込まれても、それ以上に世界を吸収する子供の伸びやかさを感じることが出来る。
「胸が大きな女が好きか?今の紫では真九郎を満足させてやれない」
これは健気な子供の言葉と受け取っておこう。「今の紫がいい」と言う真九郎も、まあ、なんだけれど。
環が紫の着付けをしたのは驚きだが、それを聞いた夕乃は頬染めて何を想像したんだろう。

紅 1 紅 1

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紅 第7話「女」

九鳳院の家を出て半分ほどの自由を得た紫だけれども、真九郎のいない五月雨荘では自由すぎる住人たちにより、年端もいかない子にしては豊富な知識を得てゆくのが末恐ろしい「紅」第7話。
男遊びと称して大学に行く環に見たものは、自由そうで強そうな顔の裏に隠された女の弱さ。
男は自分から振るものだと言いながらも、男からの別れを切り出される予感に紫をダシに使って切り抜けようと謀った環を責められまい。
「こんな時ビールでもご馳走できれば」などと殊勝な態度の紫。
紫にとって今回の外出の教訓は「男は身近にいて、ちょっと弱そうな女を選ぶ」
そこで紫の脳に閃くのは、天敵の崩月夕乃。真九郎が篭絡されはしないかと慌てて五月雨荘に戻り「今すぐ夕乃と別れろ」とのご宣告。

紫視点での環お当番回的なエピソードだが、シリーズ後半への転機の回だろう。
ファミレスで紫を九鳳院紫と知る男。紫の居所は九鳳院蓮丈の知れる所となり、紫を取り戻そうとリン・チェンシンが動くことになるのだろう。
九鳳院家での蓮丈と紅香、亡き蒼樹と紅香の関係も回想シーンで登場する。
これまで明瞭に語られていたか記憶が無いが、蓮丈と蒼樹は実の兄妹で近親姦で生まれた子供が紫。九鳳院家に生まれた女子は「奥ノ院」に一生囲われる。蒼樹の友人だった紅香が紫を連れ出して第1話が始まると理解している。
紫と九鳳院の話は随分進んできて、次回以降でひと騒動ありそうだ。
真九郎側の物語は誘拐事件から紅香の世話で崩月家で修行したようになっているが、銀子が真九郎に「ラーメン屋一緒にやろうと思っていた」と言わせる幼馴染みのエピソードが無いが、これから挿入されるのかスルーされるのか、後者なら惜しい。

キャラの目元や頬の線に特徴があると思えば、作監はごっきーこと後藤圭二。第1話で原画もやっていたが、テレビシリーズの作監は久しぶりかも。

Love Jumpcrossing days紅 1

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紅 第6話「貴方の頭上に光が輝くでしょう」

松尾衡監督でこのキャストでミュージカルとなったら大方想像は付くのだが、練習から本番通し稽古へ雪崩れ込むコンテが見事。第1話と同じく、この第6話は脚本・絵コンテ・演出とも松尾衡。
キャストも即席素人ミュージカルの下手さ加減を上手く演じていて、プレスコでの演技に絵も良く付いていっている。アフレコだと、ここまで細かな動きは表現しても音が付いて行かない。

五月雨荘オールキャスト+2で展開するミュージカルの練習、いわば劇中劇を捻った脚本で一本押し通した。「貴方の頭上に光が輝くでしょう」のサブタイはミュージカルのタイトルでもあるのだが、いつも五月雨荘の前で一人寂しい弥生が初めて輝いた回かもしれない。闇絵との地味同士の掛け合いにはニヤリとさせられる。
尻に敷かれタイプの真九郎が呼んだ夕乃にしても闇絵にしても音痴の設定だが、子供らしく正直に「下手」と切って捨てる紫が可愛らしい。紫にとって夕乃は天敵だから、部屋での二人きりの練習が気になって仕方が無い。練習に紛れ真九郎にアタックする夕乃の薄黒さも強調されている。

紅香が仕込んだお遊びに、釣られた一同がノリノリでオリジナルパートまで作ってしまったのは予想以上だったのだろうが、これは何かと淋しい紫へのプレゼントだろうか。
巻き込まれた弥生も楽しそうだが、騙されて公園に行った銀子だけがつまらなそうなオチ。
キャラを使ったオリジナルな遊び回でも、真剣にしかも楽しそうに作っているのが伝わってくるから、たまには悪くない。

紅 1「紅」 kure-nai ドラマCD

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