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カテゴリー「屍姫」の記事一覧

屍姫 玄 第12話(25話)「屍の果て」(最終話)

七星と手を組み光言宗を倒すという赤紗。彼のヒビキへの未練は、己の性が生み出した屍姫北斗のために断ち切られ、最後を迎えることになった。
背信僧の汚名を背負い、敵役でありながらもより真実に近づき悩む赤紗を十分にキャラ立て出来なかったところに、企画からシナリオ打ちの甘さが見て取れる。赤紗が裏主人公として活躍するシナリオが並列していれば、オーリも屍と屍姫の業に悩むことも少なく、景世兄貴の幻影を追わず、赤紗・七星との戦いに真っ直ぐ打ち込めたのだろう。主人公が迷い彷徨うドラマを狙ったのだとしても、オーリの成長ドラマの側面で彼を縛ったのは景世の亡霊、その呪縛を断ち切る契機が他動的でありすぎたように思う。
光言宗の謎と真理を異なる方向から追うライバルの立場で赤紗が描かれていると深みが出たのではないかと、最終話を見てから思う。

108の屍を斃すと天国に行けるという光言宗の嘘、浄房に眠る最初の屍姫がつなぐ屍姫と契約僧の絆。
それらが赤紗と北斗の手で、それらのシステムが破壊されたなかでも、直接の絆により再び七星たちに立ち向かう屍姫と契約僧。ドラマの転換点であれば納得も行くのだが、長々と繰り広げられてきた屍姫と契約僧をつなぐ力の設定を最終回に自己否定をするとは、自信過剰なのか続きもあるとのサインなのか。
権大僧正に貞比呂が就いたのは、今後屍姫の扱いが変わる予兆なのか、マキナは安息を求めずに逃げた北斗を追い戦いの日々が続くことを示して長い2クールを締めた。
万が一、続編ならばアニメより舞台が合っている。アニメーションのリソースを割く必要はない。
作監は6人もいて、キャラ統一感なし。今回に限らないが、制作時間がタイトなのか、やっつけ感の強い話数が多すぎた。

第8話、11話、12話、22話、オープニングだけは評価したい。
このまま実写戦隊モノに仕立てるのかと勘ぐるキャスティング、その演技の物足りなさには最後まで評価できない。會川昇脚本とむらた雅彦監督も力を発揮していないのか、こんな個性だったか…
この企画を通したスクエニ、ガイナックス、キングの製作陣は、この出来で満足なのか?

シリーズ全体を俯瞰すると、広げた風呂敷は派手だが、世界の広がりはない。ミナイなどのお当番回はあったが、多くは深く掘り下げるよりも目に見えるイベントをこなすだけのようだ。巻き込まれ型とも言えない主人公だが、屍や屍姫たちが起こす事件をトリガーに方向感なく動く。それを諭し道を示す先達も景世が死んだ後はいなくなってしまった。その意味でオーリは景世の呪縛から逃れることは出来なかった。最終話になっても、彼が自立できたように見えない。いや、そんな主人公の成長物語を描くつもりではないのだろう事はわかっているが、それでは2クール終えて何を得たのだろうか?

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屍姫 玄 第11話(24話)「一〇八の嘘」

屍姫と光言宗の謎を解き明かす最終回前の怒濤の展開と言いたいところだが、脇の悪役程度にしか描かれていない赤紗と屍姫の過去から切り込んできたためか、説明的な構成になり足踏みした感が強い「屍姫 玄」の第11話(24話)。シリーズ構成とプロットが甘い。
オーリもしくはマキナ、光言宗サイドから探ってきた屍姫の秘密を語るのが背信僧の赤紗とは皮肉だが、もっと早い段階で彼の背景を語っておくべきであった。投げっぱなしで終わるならまだしも、シリーズを結ぶつもりであれば直前回で赤紗が王手をかけるのは慌ただしすぎる。
そんな脚本だが、小竹歩のコンテ・演出で少し救われていると思う。アニメーションの表現幅の中で可能性の追求をおろそかにしないのが見て取れて、それだけでも評価したい。

赤紗の回想。108体の屍を殺しても成仏することなく、破壊の屍となる彼の屍姫ヒビキ。元は幼なじみで恋人だが病気で喪った。修行僧だった赤紗の屍姫となり永遠に共にあることを望んだヒビキの願いは叶わず、赤紗の手によって殺すことになる。
娘を喪った光言宗教祖の未練が生み出したのが、最初の屍。その屍の棺の中から最初の屍を生み出した光言宗教祖の教典を取り出す赤紗。教典を用いて北斗を自らの屍姫と成す赤紗だが、そうなる前から赤紗の命令を聞いていた北斗の行動は設定が甘いのではないか。
屍姫に功徳を説き使役する光言宗の嘘に、背信僧となった赤紗の背景は明かされたが、北斗を従え目指す真の目的は単なる光言宗への復讐にとどまるのか、少し曖昧だ。
「これは私の償いですよ」と赤紗は言うが、それはヒビキと光言宗への未練ではないか。

契約僧との縁が切れた屍姫たちの死闘が続くが、敵を目の前に僅かな力ながらも新たな縁を結び困難を乗り越える最終回なのだろう。そこでオーリは物語の主人公として何を語るのだろう。
今回の引きでのオーリの演技の出来は残念。期待が最終回につながらないではないか。
脚本家や声優キャスティングからして実写戦隊モノ向きな素材でもあるのだが、大胆に切り取った構成なら舞台にも向いていると思うようになってきた。 VFXを多用すれば映画も行けるかもしれない。

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屍姫 玄 第10話(23話)「地獄の先へ」

オーリとマキナの絆を改めて確認した前話から一転、七星たちの光言宗への総攻撃で慌ただしくなる「屍姫 玄」。やはり前話の余韻もない。
航空機墜落事故がもたらす穢れ、それによる大量の屍に対抗する屍姫たちの奮闘が一つの柱。
光言宗と屍姫の秘密の入口に視聴者を立たせたのが、もう一つの柱。

北斗たちは浄房をまっすぐに目指したようだが、そこに何があるのか赤紗は知っていたのだろう。屍姫たちから清め落とされた穢れが集まるその場所に隠されたものが、光言宗のウィークポイントだと。
赤紗が光言宗を裏切った理由もわかってきた。屍姫は108体の屍を倒すと成仏できるという言葉は、光言宗が屍姫を従わせるための虚言と感じられる。それを信じ戦った赤紗の屍姫は成仏など出来なかったのだろう。
裏稼業的な立場の貞比呂とアキラは、それを知りながら光言宗に従う道を選んだのかも知れない。

浄房の地下には、屍姫と契約僧をつなぐ縁の力を維持するシステムと共に光言宗の胡散臭さも封じ込まれていたようだ。

そのシステムが北斗により破壊され、契約僧と縁の切れた屍姫たちは次々と力を失ってゆく。
大詰め前のタメを作ることもせず、伏線の展開と回収を平行に進めてゆく構成は悪くはないが、理解されにくいだろう。収束への方向感がなく落ち着かない。
原作は知らないので落としどころは見当がつかないが、光言宗のシステムを乗り越えたオーリとマキナの絆の強さを見せて終えるのだろうか。残り2話。

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屍姫 玄 第9話(22話)「生者の価値」

屍の母親から生まれたオーリは人なのか、屍なのか。
オーリの出自と七星ヒズチの過去、マキナの祖先と北斗の因縁、その双方に影をさす七星と光言宗。積み上げてきた伏線がようやくクロスした。もっとも積み上げる段取りは褒められるものではなかったが。

未練も性もなく、ただ人身御供として死ぬためだけにあった北斗は存在自体が死であり、死こそが存在。七星を倒す事を未練として屍姫であり続けたマキナ、その頑なな想いに囚われたままの彼女は、北斗に敵わない。敗れ去る寸前に景世の名をつぶやく演出には「えっ?」と思わせておいてから、オーリとの縁が切れていないことを示す復活のシーンへの転換には感心した。
光言宗の読経が力になったのかは知らぬが、対七星や景世への未練を、窮地のオーリへの未練に鮮やかに転換させたのは納得が行く演出だ。

オーリは交通事故で死んだ臨月の母親から生まれた子。母は我が子を抱きたい未練により屍となり、子供たちを殺しはじめる。その中の一人がヒヅチで、彼の「食いたい」未練が彼を屍とし、他の子供たちは姿を変え黒猫となってオーリが人となるか屍となるかを見張っていたとのことだ。
ヒヅチが用意した、その時と同じシチュエーションによりオーリの記憶は蘇ってしまった。
屍に囚われたオーリが、子供たちを食らうのか、自らが屍に食らわれるのか、オーリの選択は生者として生き続けること。
駆けつけたマキナと力強い連携によりヒヅチを倒したあとの、マキナの「あなたが必要なんだから」とのツンデレマキナも良いものだ。

マキナを救出し、七星を急襲した梅原や嵩征たち。光言宗の目論み通りとはならず、七星たちが仕掛けた「大いなる穢れ」が厄災として起きるところで次回へ続くのだが、これはCパートに送るか次回冒頭でも良かったのではないだろうか。
オーリもマキナも、今回の事件で自分の出自を振り返り、お互いの縁を再確認して一件落着として欲しかったのだが、このまま流されてしまいそうな感じがして落ち着かない感じだ。

今回は演出も作画も良好だった。終盤、最終回間近のミニクライマックスとして良い出来だと思う。
絵コンテ・演出・屍デザインは平松禎史。作監に横井将史、レイアウト作監に貞方希久子、作監補に平田雄三と錚々たるメンバー。原画に西田亜沙子がいたのは珍しい気がする。

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屍姫 玄 第8話(21話)「我が母は穢れたまいし」

シリーズも大詰めになり、ここで主人公オーリの出自の秘密の暴露。「オーリは屍の子であったと」
今は亡き景世の他、現場に居合わせた光言宗の面々はもちろんのこと、その事実は権大僧正まで知るところである。そして「兄弟」だという七星のヒズチ。
七星に捕らえられたマキナが自らの業をそのままに、北斗を倒す・葬る快楽へ身をやつす。マキナの呪いに消耗するオーリ。これも七星のイサカの策略か。
本山を固める光言宗、屍姫の集結した穢れのエネルギーを逆手に取り、覚醒した北斗の力をもって一気に光言宗壊滅を図る七星と、最終決戦への準備が進む。ここに来て、引き離されたオーリとマキナの望みの断裂の修復がカギになった。
七星への復讐を糧に景世と戦い続けたマキナ、景世の今際の際の頼みだからと聞き届け契約僧になったオーリ。それぞれ「景世のためだから」と偽り続けた関係が破綻した。

この期に及んで、主人公の成長物語でもないだろうから、マキナとオーリそれぞれが自らの過去と出自を受け止めて、新たな関係を築くためのまとめに入ったのかも知れない。
マキナとオーリを見守る光言宗内部の相関図もキッパリと分かれ、縁切りが二人のためだと莉花と早季、「人と屍が想い合うことができるか」見届けたいと自分たちの悔いを託す嵩征とリボン姫イツキ、二組の争いに割って入る梅原とフレッシュ。
それぞれの思惑の違いを見せながらも、大団結への伏線は張ったと言えよう。

Aパートの作画には良い点もあったが、総じて平均的な出来栄え。ビートフロッグと武遊で制作を分けたようだ。
2クール費やしながらも、太い幹に育たずに枝葉ばかり茂った雑木のような物語も終着点が近づいたようだ。このシリーズの會川昇にはがっかりだ。クライアントが悪いのだろうが、屍姫戦隊モノに仕立てた方がマシだった。
次回、平松禎史回に少しだけ期待しておく。

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屍姫 玄 第7話(20話)「ありふれた望み」

七星に操られるだけで、まだ屍になっていなかったお胸様。彼女の望みは屍となればオーリのそばにいられるという思い込み。脇役の彼女を使えるとすれば、このような勘違いが不幸を招き、オーリを悲しみに落とすくらいだから、そう間違った使い方ではないと思う。
ただし、彼女でなくては成立しないかと言うと、全くそんなことはないのが残念なキャラクターだ。
歪んだ望みが自らを滅ぼすだけでは、ミナイの時ほどの喪失感はない。それでもオーリを泣かせることはできたが、オーリの覚醒につなげることができるだろうか。

七星が星村家を襲った理由は、屍姫を作る教典を奪うため。そしてマキナを屍姫として作り、七星たちが光言宗を潰すため、純粋な北斗が興味の対象とすること。
トーヤの中身は幼い女の子の屍。生活苦のためか遊園地の観覧車内で心中した一家、楽しいことが未練となった屍か。
死んだお胸様の悪霊がオーリを襲うが、そのザコを止める新たな七星のヒズチ。オーリはオレの獲物だと。そして「オーリは屍の子」と真偽のほどを検証しようもなく、次回へ大きな伏線を持ち越した。
トーヤが屍となった悲しさも、お胸様の無念の死も、頑張って構成してきたけれども、ヒズチのひと言で全て持って行かれてしまった。

次回は話数調整で、放送1週休み。
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屍姫 玄 第6話(19話)「幸福という怪物」

偽景世に屍お胸様とオーリたちを惑わすトラップが続く「屍姫 玄」の第6話(通番19話)。
前話の感想ではお胸様のことを「必死でマキナを探すオーリにスルーされて、失恋の事実を明らかにしただけ。これが未練となり、不慮の死で彼女が屍になる伏線ならば意味もあるが、さてどうするのだろう。」このように書いたのだが、マキナに助けられた伏線を生かして、死と屍に魅了されたあげくの彼女の隙と嫉妬を七星のトーヤに利用され、本当に屍となってしまった。
彼女は次回、七星が送り込む肉弾として活躍することになるようだ。

自信過剰の七星エナの最期はあっけない。本当の景世を刺してしまい失った悲しみを他人に味わわせまいと立ち向かうオーリ。マキナが身を盾に、貞比呂とアキラも戦いに加わるのは、オーリ一人の成長物語ではない事を示している。
マキナの「108の屍を殺せば天国に行ける」に、アウトローのアキラが複雑な表情だったのは、そう思い込まされているマキナを哀れんだのだろう。もちろん、信じ込ませているのは、屍姫を利用しようとする光言宗の上層部なのだろうが。

学校で「幸せをあげる」と生徒たちを殺めはじめたお胸様だが、オーリに「私を殺して」とは不可解な言葉。まだ生きていて操られる我が身をオーリの手で殺して欲しいと理性が語るのか、または死それ自体が彼女の幸福なのか。死んでいるとすれば、死ぬこと自体の望みは叶っている。残る彼女の未練はオーリへの想いか。
マキナとの距離は近づいたものの、相変わらず隙だらけのオーリの運命は次回を待とう。
ピークはリミッターで抑えられたような演出、ネタも微妙にツボを外しつつ、まだまだ拡散中の物語の着地点は見当が付かない。

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