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カテゴリー「夏のあらし!」の記事一覧

夏のあらし! 第12話「時の流れに身をまかせ」

「夏のあらし!」第12話。1クール、ぐるっと一回りしての大団円。
主義や理想を超えて、目の前に困っている人がいれば助けるというあらしの行動基準。シンプルだが、なかなか出来ないことを自然にやってのけるヒロイン。そこにやや頭でっかちだが柔軟性も見せる一のコンビを中心に繰り広げられる夏。かたや幾度も繰り返した夏、かたや少年の一瞬の夏。二度と巡ってこないお互いがいた夏がフィルムに焼き付けられたようだ。
独特の光の処理をした美術(背景)と色彩設定、今や懐メロになってしまった昭和の歌謡曲をバックにドラマが描かれた。現在から少し前の昭和の世界で、さらに先の戦争の傷に触れるような、我々から見れば二階層俯瞰するかのような仕掛けがかえって新鮮だった。

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「存在感」という力で生き続けるあらしたち。同じ時代に通じる人間がいれば補給される力のようだ。あらしに力を戻し、この時代で人と関わり生きてゆく幽体としての覚悟を加奈子とやよゐ。加奈子はグラサンを下僕としながら力を得てゆくようだが、やよゐはどうするのだろう?一はあらしと二又状態になる。最終話で展開があるのだろうか。
ひとまずのお詫びと恩返しに、加奈子とやよゐは喫茶「方舟」のウェイトレスに。
最近出番が少なかった潤には、モデル仲間の姫川ようこが恋人を名乗り登場。本気なのかいたずらなのか、潤が女であることを隠して勤める理由まで知っているのだろうか。潤でさえ距離を置く解放的な現代女性のようこに、固い加奈子は黙っていられるはずもない。それにしても終盤にあわただしいこと。

あらしにも山代武士というイケメン登場。10年前の海、あらしに似た人から救われたという。ドライブデートに行った二人を自転車で追い、転び、拗ねた一だが、それでもあらしの力になれるのならと早い立ち直りを見せる。短い夏に少し成長した少年の姿を一に見たカヤの言葉が温かい。
次回、最終話は「プレイバックPart1」で第1話に戻るのか、夏休みの終わりなのか、原作を知らないので想像がつかない。
脚本は高山カツヒコ、絵コンテは中澤勇一、シャフトとは絶望2期以来か?、演出は飯村正之。作監に潮月一也と梶浦紳一郎。エンドカードは、あぼしまこ画。あらしさんの胸の突起が目立ちすぎな気が…

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夏のあらし! 第11話「世界は二人のために」

「夏のあらし!」第11話。昭和20年3月10日の東京大空襲から間もない頃、ちょうど工場の休電日の演芸会が行われる日にタイムトリップした一とやよゐ。やよゐと加奈子の馴れ初め、幽霊として消えゆく運命を受け入れようとするやよゐと抗う加奈子のコントラストを描き、二人の伏線は一通り回収したのだろう。
コントラストの強い夏の光は使わず、何度となく繰り返す二人の夏の閉塞感を、回想シーンと共にセピアのトーンで統一している。

ラジオが告げる東京大空襲のニュース、市街地に艦載機が単機侵入しての機銃掃射など、市民生活にも戦況の悪化が感じられる構成になっている。その反面、商店街を歩く市民は一見平穏で、そこに見せるギャップは戦時下の市民生活の逞しさを映し出してもいる。
5月の横浜大空襲で市民生活が炎に呑まれることを知っているやよゐだけが、平静でいられない。
丘の上で過去を独白するかのようなやよゐだが、一のことを「兄さん?」と呼びかけた演出がわかりにくい。

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未来から来たやよゐが過去の加奈子を機銃掃射から身を挺して守ったことにより、育ちの違いから女学生のお嬢様たちを憎んでいた加奈子にもやよゐ気持ちは通じたようだ。演芸会でのやよゐのピアノ演奏を廊下からのぞく加奈子からの「ありがとう」と謝罪に、「心配かけてごめんね。それから、ありがとう」と切り返すやよゐの方が大人だ。そんな無垢なお嬢様に惚れてしまった、純情な少年のようだ。加奈子は。
夢中で加奈子を庇ったことで、無意識に歩くことが出来た加奈子。
現在からはグラサンと通じた加奈子がやよゐを迎えにタイムトリップしてきた。この先は運命を受け入れつつも次の夏を待ちながら二人静かに暮らすのだろうか。
ただ、横浜大空襲をどのように見せるのか?その時はあらしたちをどのようなポジションに置いて描くのか。それとも見せないで終えるのか、残り2話の興味はそこにある。

演芸会で「早春賦」を歌うのはあらしとカヤ。あの時代もセーラー服姿で、お嬢様然としながらも気取るところはない。Cパートではマスターや潤と共に、現代での小ネタ担当。
エンディングは加奈子が歌う「喝采」をバックにスペシャルバージョン。
堀江由衣が歌う「喝采」はタメとコブシが効かずに、単調だった。
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夏のあらし! 第10話「異邦人」

あらし、カヤと同じように横浜大空襲で命を落とし、現代を生きる?幽霊二人がやよゐと加奈子。グラサンにあらしを連れてくるよう依頼していたのは加奈子だったが、以前から目をつけていたのだろう、その目的はあらしの力を吸収し消えゆく自分たちの寿命を延ばすことにあるようだ。そんな幽霊たちの存在がクロスし、物語の終盤へ大きく舵を切ったような「夏のあらし!」の第10話。

大倉山記念館(昔の大倉精神文化研究所)がモデルと思える洋館ががやよゐと加奈子の居所。この二人、大空襲のショックで歩けなくなったがやよゐを加奈子が守る構図だ。グラサンでは埒が明かないと知って直接行動に出る加奈子。ナイフやボウガンにスタンガンとグラサン相手に接近戦も辞さない大胆さは、すべてやよゐのためを思ってのことだが、典型的な共依存にも見える。あらしとカヤの関係とは少し違う。
この4人は戦時中の女学生の勤労動員の工場で顔見知りだが、加奈子だけは女学生ではなく元から女工のようだ。女学校に進める環境にあるお嬢様たちをうらやむ気持ちの裏返しか、セーラー服姿で闊歩するあらしとカヤは憎んですらいるようだ。やよゐとは休電日の演芸会をきっかけに仲良くなり現代まで続いている。

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力の尽きることをやよゐは半ば運命と受け入れるそぶりはあるが、加奈子は簡単にあきらめそうもない。加奈子に襲われた一が足を滑らせたはずみにやよゐと通じてしまう。縛ろうとする一に体に触れないようしきりに警告していたが、やよゐは通じてしまうことを知っていたのだろうか。それはいつかの歴史の中で未来にタイムトリップして知ってしまっていたことなのかもしれない。
それで今回のやよゐと一のトリップ先は、大空襲下の昭和20年5月29日なのだろうか。

グラサンがかつてあらしが助けた村田三吉の息子、村田英雄であったことが確定。目の前の不幸を救うあらしの行為が間違っていなかったと、その行動に意を強くする一。
加奈子の行動に契約破棄をするグラサンについては、元々胡散臭く思っていた契約主だったとしても、彼の心情変化を補足・フォローして欲しいところだった。
Cパートは出番の少なかったカヤ、潤、マスターが担当。昏睡のあらしは、うなされオチ担当。
虫プロダクションのグロス回。
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夏のあらし! 第9話「HERO(ヒーローになる時、それは今)」

前話で「賞味期限切れの牛乳」のタイムパラドックスを考察して、今回は「賞味期限切れのしめ鯖」で再びおさらいする「夏のあらし!」の第9話。
同じ題材の繰り返しでパッと見、甚だしい手抜きに感じられる向きもあろうが、演じるキャラクターたちにとっては決して同じドラマの繰り返しではない。キャラクターのリアクションと心情変化を、受け取り手がどのように捉えるのかで楽しみ方が違ってくる。

今回はしめ鯖のタイムパラドックスの思考実験を機に、キャラクターの性格と人生に対する考え方が良く掘り下げられている。あんな感じのマスターだからか、金と欲に駆られた詐欺師の表面だけ描いてきたけれども、賞味期限切れが惜しいだけかと思いきや人間観察の深さを見せてくれているし、典型的な中坊の一に女心を諭す意外な一面も見せている。
一がタイムパラドックスと平行世界の概念を簡単なチャートで解説してくれたが、そろそろ佳境に入りそうなタイミングで早すぎず、遅すぎずといったところだ。一が科学少年だったのは意外だが、タイムトリップによる歴史改変を理詰めで考えようとするのに対し、あらしとカヤの反応が違うのは興味深い。
もちろん二人は過去に生きた現在の幽霊という歴史の当事者だから現代人と違うのだが、「まあいいか」のあらしのノリと改変を深刻に考えるカヤの違いも、この短いエピソードの中で改めて示している。
潤はお当番回が終わったところで、一休みと言ったところ。
SHAFT制作作品から多数登場のモブキャラが賑やかで、なぜか釣りキチ三平や「いっしょにとれーにんぐ」なども。

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エピソードや演出は控えめだけれども、これまでの設定と伏線の整理と、やよゐと加奈子が本線に絡み出す意外と重要な回。
あらしと一は1985年にタイムトリップして、昭和20年横浜の空襲下であらしが助けた村田三吉のフォローエピソードを組み込んでいる。この村田三吉の息子、今のグラサンに似ているが、気のせいだと思っておこう。
歴史改変への科学的・道徳的なことはさておいても、目の前にある困難を黙って見過ごせない、でも今ひとつ確信がもてなかったあらしを涙と共に救済した形でまとめている。
次回は永遠を生きるためにと、あらしを襲い力を奪う加奈子とやよゐの秘密に迫るのだろうか。
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夏のあらし! 第8話「勝手にしやがれ」

実は女であることをカヤに知られた潤だが、今話はさらに「転校生」状態になって話がややこしくなる「夏のあらし!」の第8話。
何話か前の感想でも書いたが類似シーンの繰り返しが特徴で、同じようでありながらも、わずかな時間の中で変化し成長する人と人の関係を切り取ってみせる。神社の石段の上で、一本のジュースを回し飲みするシーンがそれだ。入れ替わってみて初めてわかる男女の心と体の違い、それゆえの身体的能力と思考論理の違いが見て取れる。
スイカを1個しか持ち歩けなかった潤が、一の肉体を得た後の破壊的な能力の高さ。なんと言っても「玉」がない体を一に見られたくない一心からの条件反射だが、あれほど女であること、女になることに違和感を持っている潤にしても、この修羅場で現れた羞恥心は女にしかないものだ。
細かいことは気にしない設定に見える一のことだから、借りた形の潤の体が女だとは確信していない。入れ替わったショックで「玉」が無くなったと考えている程度だ。

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タイムトリップで大きく時間をジャンプして、60年の時間の流れの中で変わったもの、変わらなかったものを見せることも同じ。こちらを担当するあらしとカヤの出番は次のお楽しみで、今回はトリップなし。
賞味期限切れの牛乳を持ち、期限前の日にタイムトリップすれば飲めるのか、マスターがタイムパラドックスのお題を出している。思考実験ではなく、単にマスターがケチだからなのだが。
昔と変わった風景、爆撃をのがれて変わらなかった神社の風景などは一があらしの言葉を借りて説明している。
シャフト的には部屋の富士山の絵が「富士山」の文字に変わったことで、トラウマが変わらないことを主張しているのか、ネタに徹し開き直ったのか、どちらかは知らない。

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一、潤、マスター、グラサンの4人が石段から転落し、グラサンと潤、一とマスターが入れ替わり次回へ続く。
あらしとカヤの力を借りて、入れ替わる前にタイムトリップして解決と行きたいところだが、この肉体入れ替わりの状況では誰と誰が通じるのだろうか。
劇伴に「黒ネコのタンゴ」を入れていたが、さすがにリアルで知る視聴者は少ないだろう。この、音楽の世代ギャップも狙いの一つだ。
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夏のあらし! 第7話「他人の関係」

そこに行かなければわからないもの。その立場にならないとわからないこと。
60年の時を越え不器用な女同士が通じ合ってしまった潤とカヤ。二人が見るものは何か期待をさせてくれる「夏のあらし!」第7話。

女としての自分を嫌い、延長として男装を通す潤のトラウマの理由は詳しく明かされていないが、姉の名が出てきたから、姉に原因があったのか、それとも時間をかけて醸成されたものなのか。
モデル仲間3人の「いかにも」女のスタイルに距離感を置く潤だが、意識せずに女性として振舞う3人の方が一般的だろう。潤のジェンダーの問題は掘り下げるのか、それともカヤの古風な女性の振る舞いに感化され自然と解消されて行くのかわからぬが、他の登場人物との接し方は影響されるだろう。

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風見鶏が壊れた屋根に潤を付き合わせる一は「男の役目」を強調する立場だが、いかにも固定概念を背負った男子中学生。ただ、その単純さが頼もしく見えることもある。屋根の上の修理にしても、昭和20年に迷いなく飛ぶことも。
風見鶏の修理で登った屋根からは、遠く海までの眺望。男女の違いよりも、潤にとっては「その場所に立たないと見ることが出来ないもの」を教えられたことになる。そして「いま言えることを、いま言わないのは意味がない」ことも。
自分が女であることを潤がカヤ以外に告げる時がやがて訪れるのだろうが、今はお休み。

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横浜大空襲で死んだカヤの「身体に意味なんてないのよ」との言葉は潤にどのように響いただろうか。かつてのマスターが好きだと言う気持ちを60年間押し殺してきたカヤに対し、潤の真直ぐな気持ちは「いま言えることを、いま言わないでどうするの」と一の言葉を受けて、バトンのようにつながって行く。
あらしたちの戦争を背負った世代の重い話がベースにあるけれども、個の抱える問題に置き換えてみた時のペーソスあふれる筆致は気に入っている。

「女」を強調した今話、グラサンもその役回りに参加させられている。やよゐと加奈子から仕事を受けたのか他に理由があるのか、イセザキモールのランジェリーショップへお使い。ランジェリーとあの体躯のコントラストがおかしいが、グラサンのぎこちない振舞いは自然だ。あの顔でランジェリーショップで手馴れた買い物をしていても悪くはないけど。
ディスプレイのランジェリーの向こう側も透過して書き込まれている、細かい仕事振り。
脚本は前話に続き赤尾でこ(三重野瞳)。絵コンテは島津裕行、演出に大沼心、作監は伊藤良明・大森英敏。

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夏のあらし! 第6話「恋におちて」

「夏のあらし!」第6話。カヤが通じる相手は女性だけ。なぜか女という生き物を嫌い、男装で性を偽る潤と通じてしまうことで、潤が女性であることがカヤに知れるが、潤が男装でいる真相はまだ語らない。
カヤと潤がタイムトリップする先は昭和20年4月、横浜大空襲前の当時の「方舟」の夜間の店内。当時の男性マスターは傷痍軍人か元々なのか、足が悪く松葉杖をついている。戦時情勢の悪化でドイツに帰国できなかったカヤは、この店長に密かに想いを寄せていたのだろう。

灯火管制違反を見咎め入って来た憲兵が外国人のカヤを取り調べようとする様子は、いくら同盟国ドイツ人といってもスパイまがいに特別視されていた時代の空気が感じられる。ドイツは西部戦線もライン川西岸を失い、風前の灯の状況だった。
タイムパラドックスで歴史を変えることを極度に嫌うカヤが思いを伝えられないもどかしさ、彼が1ヶ月後の空襲で命を落す運命を知りながら、何もしないことで60年間も彼を見殺しにしてきたつらさが滲み出ている。
タイムパラドクスは別としても、この当時の女性から積極的にアプローチすることなど思いもよらない男女関係の密やかさを、現代っ子でしかもジェンダーもしくは性差に特別なポジションを取る潤に観察者の目を持たせて解説したことも効果的だった。

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マスターと別れた後、空襲警報発令。
自宅の両親を心配し焼夷弾の降るなか、自宅に入ろうとするマスターに逃げるよう促すカヤだが、やはり両親は無事であるとの未来の事実はマスターに告げられないもどかしさ。
押し問答の二人と対極的に、焼夷弾の雨の中で怯え死の予感にわめく潤は、あの時代を知らない世代が戦争の現実に直面した描写として優れている。エフェクト中心だが最小限の効果で演出意図は伝わる。
もどかしいカヤとマスターの状況に、止めを刺すのも潤のもどかしさの爆発だ。心の奥に押し込んでいた女の性とでもいうものが一時、解き放たれた。
カヤの時代を超えたラブロマンスだけで終わる事なく、潤を通しての視点で深みが増したエピソードだ。消火器持って駆けつけた一とあらしは、なくても良かったかもしれない。

モブ:沢城みゆきがキャスティングにあったが、モブキャラ全員をあてたのだろうか。
エンディングは新しく、曲も 「ひと夏の経験」 にチェンジ。
脚本は赤尾でこ(三重野瞳の別名)

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