テンポ良い構成で「狼と香辛料」は第3話。港町のパッティオに着いた二人。ロレンスの取引にアドバイスするホロは賢狼ぶりを早くも発揮する。
市場のリンゴを山ほど買い込み平らげるホロだが、意図してか偶然かそのリンゴの香りが成功の鍵になる。
テンの毛皮の売却では予想外の高値で満足そうなロレンスだが、更にホロが再交渉。
毛皮についたリンゴの香りから、テンの取れた環境の豊かさを想像させ、毛皮自体の品質も高そうなイメージを取引相手に刷り込む。現代でも商品に付加価値をつけて販売する基本中の基本。商品にストーリー性を持たせる事、良質な原産地のアピールなどは商売の基本なので、舞台は古風だが理解しやすい。
実在の世界・時代とは関係ない設定だろうが、馬車が陸上交通の主力である様子を反映して、港のミローネ商会の石畳に馬車の轍に合わせた軌条が設けられている細かさには感心する。
この上乗せ交渉で、ホロは自分の食い扶持を稼ぐのはもちろん、ロレンスをへこませる事になってしまうが、お互いの存在を認め合った意味ある初取引。
メインは銀貨の儲け話で推移するようだ。この儲け話の主、ゼーレンとの再会。
いわゆるフリーの情報屋か、後に触れられるように背後に誰かいるのか、ゼーレンの報酬は銀貨10枚に利益の1割。ロレンスは後で気がついたような描写がラストにあったが、情報の真偽のどっちに転んでもゼーレンが損をしないのは明白で、わざわざ解説するまでも無いと思うので蛇足に感じる。
種々各国の銀貨をホロに教えるロレンスだが、この世界の貨幣は実物貨幣から名目貨幣へと変化しているようだ。発行元となる国や教会の信用変化も織り交ぜて解説をしている。
銀貨に含む銀の含有率が上がれば、情報を掴んで先に買い回れば儲け。しかし上昇の情報は無く、ホロが銀貨を振り合わせて、そのよく聞こえる耳で感知したのは、新しい銀貨は逆に含有率が低下している事。
同じ銀貨が改鋳により銀含有率が低下したとなると、現行銀貨の名目価値は低下する。
先物取引で空売りが賢明だが先物市場など無かろうから、ロレンスは仕入商品の決済を先に送るだろうか。低下比率によっては現銀貨を買いに回り鋳潰す手も有る。
そんな相場の眺め方は、ホロが教えてくれる。
個別の情報分析に向かうミクロ視点のロレンスに対し、狼の獲物狩りの手法として、樹上に上り獲物の群れを俯瞰し判断するマクロ視点のホロ。お互いを補い、なかなか強力なコンビだ。
誰が偽の情報を流しているのか、それによる利益をどのように得るのか、ミニ経済情報戦はこの先のお楽しみ。
経済アニメとして基本は良く出来ている。原作が元々そうなのだろうが、荒川稔久の脚本も手堅い。アニメオリジナルキャラのクロエは第1話に出てきたきりだが、本編に絡むことなく中盤頃にお当番回でも設けるか?この先、二人の商取引に絡めるのだろうか。いずれにせよシリーズに引き込むための重要な序盤に起用しないのは良いかもしれない。
ファンタジー色は程々に、自然神への畏敬が薄れ教会の権威が増す世相を背景に、中世貨幣経済の基礎を若干のサスペンス風に味付け。何よりもホロとロレンスの掛け合いの面白さと、いささか尻に敷かれそうなロレンスの態度に二人の微妙な力関係もおかしい。もちろんロレンスがダメ男なのではなくて、名うての行商人であり、彼を深い英知と良く聞こえる耳でフォローするホロがよく描けている。
何よりも尻尾をフリフリするホロが可愛らしい。
次回「狼と無力な相棒」は「怪物王女」監督の迫井政行演出回。第5話「狼と痴話喧嘩」は「破天荒遊戯」コンテ・演出の高本宣弘コンテ回。







前にも書いたが、電撃文庫(メディアワークス)の一般書店・ネット書店への供給が足りないのは改善して欲しい。せっかくのアニメ化だが、販売機会の損失だと思うのだが‥
