ホロと組んでの初の取引を成功させたロレンスの新たな旅が始まる「狼と香辛料」第8話。テレビ放送では第7話目になるが、欠番の第7話はDVDに収録されるらしい。章の途中の繋ぎ回かオリジナル話だろうから、DVD特典だと思えばシリーズの視聴に影響は無いだろう。
狼を操り旅人を襲うと噂される魔術師の噂とともに、羊飼いのノーラが登場する新章に突入。半クールで原作1巻分を消化し残りで原作第2巻に沿った展開になるのか、二人の会話と取引の駆け引き、時代の空気を織り込みながら緩急つけながら描く姿勢が好ましい。
いきなり新章に突入する前に、クロエに騙された事をチクリとツッコミ入れるホロにより前話を軽くフォローし、酒場が閉まるのが早い街で権威を振るう教会の力を漂わせている。
そしてこれは伏線と言うか前振りなんだろうが、生のリンゴの時期が過ぎリンゴのハチミツ漬けの話題に目を輝かせよだれを垂らすホロの様とか、自慢の尻尾の毛並みを整える油を買う契約は、この先の取引のオチとともに回収されるのだろう。
教会都市リュビンハイゲンに向かう途中のポロソンの街。胡椒の取引に臨んだラトペアロン商会が今回の舞台。神の名を借りその言葉に権威と正義を装う前口上に、善人の仮面を被る支配人の胡散臭さはホロでなくとも気がつく。作者は神の名のもとに語るペテン師と権威主義が相当嫌いなのかもしれない。
ロレンスはトレニー銀貨の交換レートばかり気にしている風で、秤が公正であるか疑いもしない。
我々視聴者からすれば賢狼ホロの猿芝居なのだが、喉が渇いたと水を頼み、眩暈がしたとよろけて見せ、契約成立の握手をするばかりのロレンスをけん制する。テーブルにわざとこぼした水が流れる様子から、天秤を置いたテーブルが傾いている事がわかるのだが、テーブルだけの傾きでは気づかれやすいので、床全部もしくは部屋全体が傾いているのかもしれない。
不正取引の口止め料は相手の予定利益と高級武具の信用買い(レバレッジ2倍)
不正を見破った時点で、胡椒は売っても売らなくても取引には関係が無くなった。逆にかさ張らず利幅の大きい胡椒の在庫を減らす必要は無いともいえる。
この段階ではラトペアロン商会は予定利益を吐き出しただけで、それ以上の損は無い。
武具は値引きさせたとはいえ、ロレンスはラトペアロン商会から正規に仕入れる訳だから恐喝にもならない。彼らの信用枠でリュビンハイゲンの取引相手と相殺取引をするだけだから、ラトペアロン商会発行の手形だけ持っていれば良いはず。
武具を調達して荷馬車に積む必要もなく、トレニー銀貨とのレート変動を気にする必要もないのだが、気になる事がひとつ。
ロレンスが自ら語るように、リュビンハイゲンの街に武具を持ち込む商人が多い事。武具の価値が暴落する情勢変動があるのではないか。北の国から南下している山賊並みの傭兵団がカギを握っているのかも知れない。レバレッジの分で儲けも2倍、損も2倍だからロレンスがへこむ事が無いともいえない。
教会が牛耳るリュビンハイゲンでは、神の名のもとに一部商人には金の持込にも減免があるようだが、この関税面でも取引の足をすくわれることがあるかもしれない。
百戦錬磨の商人を相手にし、老獪な賢狼ホロと両面作戦で戦うロレンスの心中や如何に?
戦いと言うのが物騒ならば、商人と賢狼と両方を相手にした駆け引きでロレンスのセンスは磨かれて行くのだろう。但し女に騙されやすく脇が甘いのは直らないのは性分だろうし、ホロがノーラとの出会いに顔を隠す気持ちはロレンスの行く末がお見通しか、それとも嫉妬か?感情が交錯したホロが可愛らしい。





