「ストライクウィッチーズ」第9話は、前話からの流れを引き継いだ坂本の持つ魔力の減退、変幻自在のネウロイの秘密と軍上層部の陰謀らしきものを匂わせながら、ラストへ向けてベクトルを整えてきた。
坂本に銃口を向けるミーナ隊長。坂本の魔力の衰えを心配した隊長命令も、私情たっぷりでは通じるはずもない。その中途半端さを見抜いた坂本の「矛盾だらけだな、お前らしくもない」で、前話からのシリアスさを一旦は解消する。
単に終盤に流すだけの展開ではなく、固まってきたキャラクター設定と未回収の伏線を上手く動かしながら、この1話の中だけでもお話として成立させている。脚本と絵コンテは第6話の佐伯昭志。
夜間哨戒明けのサーニャがあくびをしながら帰投するのは、この基地の朝の風物詩。相変わらずサーニャは愛されてる。そして寝ぼけてエイラのベッドに向かうのも、第7話をなぞっていて安心感がある。「今日だけだかんナ!」と言いつつ世話をくれるエイラ。エイラも一緒に昼まで寝ていたが、非番だったのだろうか。このコンビの奇妙な絆は壊れまい。
トゥルーデ(バルクホルン)は、意識不明の妹が回復。同じカールスラント組のエーリカとロンドンへ急ぐ。妹のクリスは宮藤にキャラデを似せていて、トゥルーデが宮藤を可愛がる気持ちも一緒に説明した形だ。姉バカモード全開で、普段は見せない嬉しさを持って行きようのない不器用な感じが可愛らしいし、いたずらっ子のようなエーリカもポジション取りが安定している。
てっきりペリーヌ回かと思っていたが、坂本と宮藤の間に割って入ろうとするサブキャラ以上にはなれない。実弾入りの銃で宮藤に決闘を挑むものの、結果としては宮藤の単独行動を見逃した責任がかかる、少し哀れな存在。
リーネの出番も薄いが、シャワーの湯気の向こうに存在を誇示する胸は大きい。「私はリーネちゃんの事、凄いと思うけど」「どこが?」どこか言ってやれ、宮藤。
訓練でシャーリー・ルッキーニのバックを取る宮藤だが、そのテクニックを誇るよりもA6M3a(零式艦戦二二型甲)の低空旋廻性の良さを暗に示しているようで興味深い。G55を穿くルッキーニが高高度なら負けないと言っていたが、それは逆にA6M3aの高空性能の悪さを暗示している。
サーニャの歌を真似、姿まで擬態化したネウロイの登場。
シリーズ当初から宮藤に言わせていた戦争嫌いの伏線を生かして、さらにペリーヌとの模擬戦で「人に向けて撃ちたくない」と加速させた上で、ネウロイとの単機空戦につなげている。
多分ネウロイの秘密の深いところまでは説明されずに今期は終わりそうだが、人型ネウロイ(ズボンを穿いている!)が宮藤を誘い出す理由、宮藤がネウロイと戯れるように笑う秘密などは明かされそうだ。
宮藤の命令無視の単独行動と、撃墜命令を無視しネウロイを庇う鬱陶しい態度には視聴者側でも違和感が残るだろう。下手だった空戦も、前回の初撃墜で少し有頂天の気持ちも引きずって、その違和感に輪をかけた効果を狙っている。
この無邪気さとその裏の葛藤は、ビギナーながらも親の開発したロボに練習無しで乗り戦うヒーローの常道だから、これで正しい。宮藤はメインヒロインとしてではなく、シンジやアムロと同列のロボアニメヒーロー、もしくはおっぱい星人覚醒で見せたギャルゲのヘタレ主人公に擬して見るのが妥当だろう。話の表面の理不尽な行動と葛藤の裏に隠れた物語の真実をすくい取るためのシステムというか、既にアニメ表現としてはモジュールみたいに完成した手法だ。
シリアスというのはちょっと違うと思うが、ウィッチーズのキャラ立てとお馬鹿回を終えて、ポンッとこのモジュールを置かれたから、戸惑った視聴者がいるかもしれない。可愛い女の子たちがズボンを穿いて世界のためにシリアスな戦闘シーンを見せるコンセプトだから、この展開で良いと思う。
ネウロイの正体に踏み込むまでにはならないだろうが、ミーナたちが将軍への陰謀の疑いを解くくらいまでは進むだろう。それと同時に坂本の進退と隊の将来を明示して、今期のラストは結んでくれれば良い。当然、第2期は時間が開いても良いからやってもらわねば困る。
次回は髪をなびかせたシャーリーの作画が凄いが、誰の絵だろう。
坂本を止めきれなかったミーナの、感情的ともいえるネウロイ追撃指令を受けて、話は坂本の弔い戦か?(死んでないだろうけど)
DVDはAmazonが安そうだが、特典テレカが発表される前のソフマップで1,000円くらい安い価格で全巻予約した人が勝ち組みたいです。
