家族や家庭環境に幾ばくかの悩みを抱えた主人公たちのすれ違う好意。もどかしさとじれったさが募るのは、こんな青春が過去のものだからだ。
「とらドラ!」第19話、そんな彼らのクリスマスパーティーの輝きは、隠された本当の気持ちを長く尾を引く影のように投影してしまう。主人公とメインヒロインが舞台中央に立たないお芝居も、終幕が近い。
ステージでの大河&亜美コンビのクリスマスキャラソンは「狙いすぎかな」と思わなくもなかったが、曲をバックにこの場にいない者たちが、それぞれの場所でそれぞれの時間を精一杯過ごしているシーンに救われた。岡田麿里の詞が良くできていることと、この曲を使ったスペシャルエンディングが「気付いてしまった」彼らの物語の終幕に向けての序曲のようで、バランスが取れていた。
パーティーに来ないみのりんを竜児のために迎えに行く大河の気持ちは、すでに前話で語られていた。「クリスマスの街に光る、幸福そうな笑顔の人になりたい」
名無しのサンタクロースとして施設にプレゼントを送る、一市井の人と同じ満足感で大河の心は満たされる。だが、竜児に対しては少し違う。
Bパートでの着ぐるみのクマにはしゃぎ「本当にありがとね、竜児」と、大河。
彼女を少しだけ変えてくれた竜児へのプレゼントは、竜児をみのりんと付き合わせること。
しかしこのミスキャストに、亜美から竜児への再三の「何でパパ役なんてやってるの」、みのりんに至っては大切な友だちの大河からの厚意はかえって痛い。
大河は半ば気付いているのに「竜児のため」だから気を遣う。竜児は周りの好意に無頓着。
竜児を送り出した大河の涙、それを遠くから見てしまったみのりん。
無頓着な竜児には、みのりんから遠回しのお断りを言わせることになったが、報われないみのりん…
竜児にとっては居心地の良い恋愛モラトリアムも、これで終了か。竜児の主人公の自覚と、メインヒロインを張る大河の晴れやかな姿を見るまでには、もう数話必要なのだろう。
シリーズの最終局面に向けて、少しほろ苦いクリスマスをしっとり描いてきた。
クリスマスシリーズの3話は横谷昌宏の脚本。
今話数はカサヰケンイチ、長井龍雪のコンテ。演出はカサヰケンイチ。



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