雪山の美しさも修学旅行の浮き立つ雰囲気も全く関係ないかのように、泣いたり挑発したり殴り合ったり、ヒロインたちが隠していた生の醜さを見せつけあう「とらドラ!」の第21話。
すれ違ったままの想いに、軋んだ心が悲鳴を上げはじめている。肝心の事を先送りにして、心地良いモラトリアムにうわべだけの幸せな風景を求めた彼らの望みが、ある意味見事に崩壊した様子は痛々しいけれども、清々しく愛しい。
今回はヒロインの役割が明確で、張ってきた伏線も効果的に生かされており、ねじれた関係の構図がわかりやすくなっている。
この不穏なドラマは、リフト待ちのシーンで、北村に片想いの麻耶の振舞いに能登が口を挟むところから始まる。麻耶は絶対にフラグが立たないサブキャラポジションが揺らぐことは無いから、口火を切る役には適任。これまで北村が全く無自覚であり罪作りな役のままであるのは解せないが、麻耶の想いをスルーさせるには、この手しかないかもしれない。
メインシナリオは、旅館でのみのりんへの亜美の「罪悪感」挑発を前振りにしてから、スキー場でのビンタの張り合い。自分が思う自分と、相手が思う自分のギャップ。みのりんが内に秘めたままの「何か」が、簡単に言えば「いいこちゃん」ぶって見える亜美にとっては気に入らない。
みのりんにとっては「何も」知らない亜美が、冷やかすかのようにちょっかい出すのが気に入らない。距離を置くに置けない二人の関係は、取り繕った表面が剥がれた生の心がぶつかり合うと危険な化学反応を起こしてしまう。
このままでは亜美とみのりんは和解できるはずも無いが、シナリオは大河の遭難の方へ向かう。サブ二人の諍いなど置いて、真のヒロインと主人公の物語にフォーカスするように。
竜児が渡せなかったみのりんへのクリスマスプレゼントが、大河の手でみのりんにそれと知らず渡されていた。これが遭難事件につながる伏線とはテクニカルなシナリオだが、悪くない。
吹雪の中、何時間も発見されなかったにしては大河が危篤でもなさそうで、いまひとつヒネリが欲しいところ。
これからシリーズ終盤は「気付いてしまった」者たちが、お互いの関係をどう取り繕うか、良い言い方だとどのように再構築して行くのか、その先に何を見つめるのかがキーになるだろう。期待して待ちたい。






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