屍姫と光言宗の謎を解き明かす最終回前の怒濤の展開と言いたいところだが、脇の悪役程度にしか描かれていない赤紗と屍姫の過去から切り込んできたためか、説明的な構成になり足踏みした感が強い「屍姫 玄」の第11話(24話)。シリーズ構成とプロットが甘い。
オーリもしくはマキナ、光言宗サイドから探ってきた屍姫の秘密を語るのが背信僧の赤紗とは皮肉だが、もっと早い段階で彼の背景を語っておくべきであった。投げっぱなしで終わるならまだしも、シリーズを結ぶつもりであれば直前回で赤紗が王手をかけるのは慌ただしすぎる。
そんな脚本だが、小竹歩のコンテ・演出で少し救われていると思う。アニメーションの表現幅の中で可能性の追求をおろそかにしないのが見て取れて、それだけでも評価したい。
赤紗の回想。108体の屍を殺しても成仏することなく、破壊の屍となる彼の屍姫ヒビキ。元は幼なじみで恋人だが病気で喪った。修行僧だった赤紗の屍姫となり永遠に共にあることを望んだヒビキの願いは叶わず、赤紗の手によって殺すことになる。
娘を喪った光言宗教祖の未練が生み出したのが、最初の屍。その屍の棺の中から最初の屍を生み出した光言宗教祖の教典を取り出す赤紗。教典を用いて北斗を自らの屍姫と成す赤紗だが、そうなる前から赤紗の命令を聞いていた北斗の行動は設定が甘いのではないか。
屍姫に功徳を説き使役する光言宗の嘘に、背信僧となった赤紗の背景は明かされたが、北斗を従え目指す真の目的は単なる光言宗への復讐にとどまるのか、少し曖昧だ。
「これは私の償いですよ」と赤紗は言うが、それはヒビキと光言宗への未練ではないか。
契約僧との縁が切れた屍姫たちの死闘が続くが、敵を目の前に僅かな力ながらも新たな縁を結び困難を乗り越える最終回なのだろう。そこでオーリは物語の主人公として何を語るのだろう。
今回の引きでのオーリの演技の出来は残念。期待が最終回につながらないではないか。
脚本家や声優キャスティングからして実写戦隊モノ向きな素材でもあるのだが、大胆に切り取った構成なら舞台にも向いていると思うようになってきた。 VFXを多用すれば映画も行けるかもしれない。
