ようやく本編のドラマが始まったような気がする「シャングリ・ラ」の第20話。
しかし相変わらず送り手だけが知った顔で、今さらのように説明的に進む演出は好きではない。これまで1クール以上積み上げてきたはずのキャラクターたちの信頼や裏切りなど愛憎満ちたドラマは踏み台にすらなっていないのが惜しい。
何も知らずに育てられたメインヒロイン國子が秘密に気付いた時、その後の感情の変化のフォローもないから、すっかり過去にこだわりも未練もなく東京を焼き払い、よくわからない「アトラス」という器に人々を送り込むのが正義だとでも開き直ったかのように見えて仕方がない。これでは涼子も國子も目的は違えど、似た者同士。やはりメインヒロインを張るはずの國子の心理面のキャラ立てに失敗している点は大きい。目に映るもの、周りで起きる出来事、人々の感情をある程度は受け止め、悩み、咀嚼した上で前に向かうのではなく、スルーして先に進んでしまうことが多く、ヒロインの成長も伝わってこない。脇役ばかりが働いているが、満を持してヒロインが舞台中央に立つことを祈る。
焦土を見下ろす國子の表情から、ある程度の後悔や未練は感じられるけれども、余韻を引かせずに草薙に割り込ませておいて、次の秘密の発見に國子を連れ去ってしまう。
焦土の下に現れた東京を巡る地脈の中心にあるのがアトラス。帝都物語風だが、これもオカルト的なお飾りで、きっと深く触れずに進むのだろう。凪子とタルシャンが苦労話で触れた程度で終わりそうな気がする。水蛭子だとか人柱に説明を割く時間の余裕はなさそうだから。水蛭子は今回のアキバ空襲で消えて終わり、アトラスの振動増大から崩壊にでも進むのだと思う。その時は後継者の資格云々は、話を引っ張るための設定に過ぎないことに気付いてしまいそうだ。
国連軍のアキバ空爆はメデューサ本体ではなく、香凛を狙ったもの。国連にチクッたのは涼子。香凛の生死は別としても、南極を勝手に投資対象にしたメデューサの暴走は止まらないだろうし、日本が炭素経済市場で落伍することも止められないだろう。これをどのように決着させるかでシリーズ終盤を構成するようだ。
國子には、せめて最後くらいはヒロインらしい活躍を見せて欲しいところだが、國子以上に存在感のなかった草薙と組ませるのは腑に落ちない。

PR