破産の危機に直面した焦るロレンスとホロの間に生じた溝。それをことさら広げる鬱展開に走らずにAパートでさっさとケリをつけて本線から逸らさない、そんな構成が好ましい。
なおかつ二人(一人と一匹?)の絆を強くして逆転劇が幕を開ける「狼と香辛料」第11話。
そのAパートでは金策に疲れ宿屋に戻るロレンスに、金策に失敗した責任を多少感じるホロ。お人好しのロレンス、怒るべき時に怒らずにそれをホロが怒り、工面した僅かな金も路銀代わりに置いて一人宿を出ようとしたロレンスを責めて、まあ深夜の痴話喧嘩で信頼は深まるのだが、宿屋の親父には迷惑な事だったろう。何回「たわけ」とホロに言われた事か、たわけロレンス。
賢狼ホロの秘策とは、ノーラを利用しての金の密輸。通貨の発行権を教会が握り、教会自身が金の取引自体を手がけるリュビンハイゲンでは、相場を攪乱する金の密輸には厳しい。
さらにその資金は、これまた破産寸前の債権者レメリオ商会から出資させる事。路銀代わりの3リュミオーネ強がその担保となった。
破産寸前の債務者の申し出に危険な橋を渡ることを躊躇するレメリオの背を後押し(追い込んでるとも言う)するのはホロ。聞き分けの良い耳がレメリオ商会から使用人たちが去って行く様を伝え、再建の障害となる事を恐れるレメリオを手玉に取っている。
「神のお目こぼしがあらんことを」と密輸で手を組む事になるロレンスとレメリオ。
一方では密輸に荷担する事になるとはまだ知らないノーラは、教会から危険な地域で羊飼いを指示されている。傭兵たちが現れるルートに不安がるノーラに神父の「神のご加護があらんことを」が皮肉にも聞こえる。
リュビンハイゲンに来た時に、ロレンスがノーラに与えた代金は47リュミオーネだと思っていたが、私の勘違いだったのだろうか。今回ロレンスが提示した成功報酬20リュミオーネに驚くノーラだから、前回はそんなに支払っていないのかもしれない。AT-Xの再放送か原作で後日確認が必要。
そんな無垢そうなノーラを口説くロレンスは、結婚詐欺師を見紛うほどの饒舌。
巧みに教会に対するノーラの不満を誘い出し、自分が置かれた境遇から逃れる術を示すだけではなく、仕立て屋の店も持つ現実性ある夢もくすぐり、これで心が動かないのは難しい。
商売人として達者な口上だが、これを女を口説く情熱に振り向ければジゴロも真っ青なのだろうが、そんな甲斐性はないことは前夜の様子からもホロにはお見通しだろう。
金を買い付けるのは異教徒の街ラムトラ。
ロレンスは税関では顔パスのノーラを利用し、羊の腹に金を隠す手口を画策する。
しかし、追い詰められやつれたレメリオの表情で引いて次回へ続くのは、困難を予想させる。
ロレンスが一生懸命にノーラを口説くのを横で見ながら、口も挟まずに一人で酒を呑んでいるホロの心情を思うと可笑しい。そんなにノーラはヤワじゃないだろうことは、羊飼いの天敵としての狼ホロは認めている。ノーラがと言うよりも、ノーラとエネクのコンビが狼の多い場所でも困難な放牧をやり遂げさせたのだろう。だからこそノーラの胸に溜まった不満は大きいのだろう。
逡巡するノーラの背を押すのは教会の鐘。教会との決別の覚悟を感じさせ、飲めないと言うワインを飲むノーラの演出は良かった。
残り2話で取引の成功と新たな旅を描くのだろうが、原作だと2巻までを終わらせるのだろう。原作の残りはあるし続刊中だから、もう少しロレンスとホロの旅を映像で見たいと思う佳作だが、製作委員会としてはどうだろうか。ノベルは良く売れているようだが、DVDが売れることが最優先事項だろう。



COMMENT
無題
ノーラに払った代金は銀貨2枚、45トリエですね。
ちなみに8話で語られた変換レートからすると、20リュミオーネはトレニー銀貨にして650余枚ですから、300倍以上の報酬です。
それは驚きもしますね。
Re:無題
>ノーラに払った代金は銀貨2枚、45トリエですね。
あの話数を見た時に、私は勘違いしていたようですね。45リュミオーネ換算の銀貨をノーラに支払ったと思っていました。
レメリオに決済困難なほどの金額をノーラに与えていたとすれば、かなり異常なはずですね。
それにしてもロレンスはレメリオのへの負債にさらに追加融資をうけ、ノーラにも空手形切った訳で背水の陣ですが、次回の活躍に期待しましょう。
ご教示ありがとうございました。