年の瀬から新年にかけて高上家に起きた事件を解決し、登場人物一同の大団円を迎えた「我が家のお稲荷さま。」最終話の第24話。
クーが高上家の大掃除などにこき使われているように見えた、天狐玉耀。兄弟(姉妹か)の天狐空幻を封じられた憎しみをまだ引きずっているのか、天狐玉耀の企みにより高上兄弟を誘拐して祠に封印。意趣返しのつもりなのだろう。
天狐としての誇りを忘れたかのように、人の世に馴染んでいるクーを叱責する流れの方が気持ちよい気もするが、「家族」をキーワードにシナリオを展開してきた。
天狐玉耀を軸に事件を回す前半だが、あまり出番も伏線も無かったから話に馴染みにくい。
玉耀に「高上家には近づかない」と約束して三槌家の祠に戻ったクーを呼び戻しにゆく展開。食い意地張ったクーには天の岩戸作戦で祠の外でお汁粉作り。
もう少し頑なに高上家に帰るのを拒むかと思ったクーだが、呼びに来てくれるのを待っていただけかも知れない。クーの葛藤が描けていないから、尺をつないだだけのパートに過ぎないのがもったいない。
初詣から高上家鍋パーティーへの流れで、月読や槐が登場しないのは仕方ないかと思うが、Cパートでシロちゃん(白鬼)の様子には触れてもらいたかったなあ。天狐玉耀を加えた程度の大団円オチでは物足りず。
昇への新年の挨拶、美咲の「今年はよろしく」と紅葉の「今年もよろしく」の違いにポジションの差が見えて可笑しい。六瓢を見た美咲が「呪われている」と看破したとおり、高上家って女難の家計なのかも。
長い2クール全体を通すと、原作と乖離することなくシナリオが書かれていたと想像するが、シナリオをなぞる点に注意が行き過ぎてしまったように感じる。陰陽五行バトルなど添え物で、ご町内人外ハートフルドラマとしては成功していると思うけれども、バトルや葛藤が薄い分、キャラが充分に立たない恨みがある。残念キャラ、妄想キャラとして佐倉美咲は予想外に可愛がられていたと思うけれども、サブヒロインのコウの活躍は後半ほとんど無しで、単にドジッ娘ときどきサカサエン程度に終わったのが惜しい。
登場キャラが多い割に、自分の持ち分を終えたら舞台裏で演技していない、演技させてもらえない感じのキャラクターが多い印象だ。
まあ、この物足りなさや何事もなく終わるのがこの作品らしいところだろうし、岩崎良明監督作品らしくもある。




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