ストライクウィッチーズの解散から再結集、そして小悪党を縛り上げて暴走するウォーロックとの最終決戦へ。あまりにも王道な熱い展開に、これがこの間までパンツだズボンだ、おっぱいだと騒いでいたアニメだろうか。この切換えの良さは、おふざけの日常の裏で話を支える世界観やキャラ設定とシナリオが崩れなかったからだ。
上空で主人公宮藤が単機ウォーロックを食い止めている以外は、ウィッチーズたちは全て協力しながら動いている。
マロニーの副官をズタボロに伸したあと、マロニーを緊縛するカールスラント3人組。丸腰の複葉機で赤城から転落する坂本とペリーヌを救出するシャーリー&ルッキーニ。そのペリーヌも坂本の手を最後まで離す事がない。
エーリカじゃないがトゥルーデ(バルクホルン)も人が変わったように、お姉ちゃんモード全開で照れ隠し。トゥルーデの魔力は、おっぱい収縮の能力かと思ったが、予告に騙された。怪力で格納庫を閉ざす矢板を引っこ抜き。エイラの照れ隠しの言い訳は、酔っ払いオヤジじゃあるまいし乗った列車が居眠り中に発駅まで引き返し。サーニャのツッコミとも言えない独り言の勝ち。
バトルシーンは文字に書き起こしても敵わないので、見るに限る。
リーネのライフルに撃ち抜かれたウォーロックが、赤城と融合体化する様にはビックリ少々ビックリ。艦の機関部に転移したコアをめがけて宮藤・リーネ・ペリーヌを突入させるラストには良い仕掛け。
赤城の艦首を壊し、突破口を開いたのはシャーリーに投げられたルッキーニ。まるで人間魚雷のような能力には笑えるし、ルッキーニらしい。
ストライカーユニットを自分の物に穿き替えて、そのユニットをコアに落す宮藤。坂本のA6M3aではなく、宮藤のものであることに意味があるのか、作品では語られない。また、それによってウォーロックのコアが消滅するメカニズムも定かではない。
ガリア上空を制圧していたネウロイの雲が消滅したのは、前話でウォーロックのコアコントロールシステムがネウロイのコアに同期して支配下に置いていたからだろう。マスターの消滅と共に支配下のコアも消滅すると考えると納得が行く。
このバトル・オブ・ブリテンの勝利で、連合軍のノルマンディー上陸作戦が行われたのか、戦線がカールスラントやスオムスへ移ったのか、作品では語らない。
エンディングのシャーリー・ルッキーニは、なぜ砂漠でパスタか?アフリカ戦線に転戦したのか、それとも不時着でもしたのか。エイラ、サーニャ、カールスラント組は大陸に戻ったのだろうか。
ペリーヌとリーネは回復したガリアで木を植える。リーネのエピソードが隠されたままなので、別の機会にでも描いて欲しい。迎えの車の男が単なる運転手なのか、執事なのか、何か秘密を持っているのか、心配で夜も眠れない。
坂本はウィッチーズの学校で鬼教官か。いかにも相応しい。宮藤は治療院で、まだまだ半人前の修行中。待望のみっちゃん登場。メインの話に全く絡まないのに、この子だけでオリジナル書けるくらいキャラが立っている。扶桑に帰れば宮藤の正妻はみっちゃんだったか。現地妻のリーネ、可哀想だがペリーヌと友だちになれたから良いか…
そんなところへ空から降ってきたウィッチ。てっきりリーネかと思ったのに、コンプエースで展開した陸軍ウィッチ諏訪天姫(すわあまき)、キャストは花澤香菜。三式戦ユニットを穿いてる。
経緯は知らぬが、彼女が届けるのは宮藤博士からの手紙。どの国から差し出されたのか、それは宮藤芳佳を新たな出会いに誘うのか。できることがあるならば、そこへ宮藤は行くことだろう。
第二期がありそうな無さそうな、新しい物語の予感をさせて終えた。
色々と張った伏線を簡単に回収しない、悪く言うと投げっぱなし。しかしアニメは終えても、メディアミックス作品の「ストライクウィッチーズ」は展開中だから、中途半端な解釈で話を作らなかったのは当然だろう。
ネウロイやストライカーユニット開発秘話、宮藤博士の消息、他の戦線の模様など全く描き足りないのだが、第501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」での宮藤芳佳と、その仲間たちの公私ともどもに絞った物語は良く描けていた。
当初はヒロイン11人の多さに、視点の分散や安易なハーレム化などが懸念されたものの、制作者の視点がぶれなかったから、燃えと萌えのバランスの良い作品になりえたのだろう。
変に百合百合して内向きの作りにならなかったのは、何といっても宮藤に持たせた「おっぱい星人」のキャラ付けで、まるでアドベンチャーまたはハンティングゲーム風に男性主人公がヒロインたちを攻略して行くような展開で、中だるみが避けられたため。もちろんズボン騒動の話数も忘れられない。
1期1クールで説明不足、尺不足。足りないくらいが次への期待も膨らむ。
エンドカードに打った「おわり」の文字が潔い。
初監督作品として、最終話を終えた後の高村和宏(股間督)の心中はどうなのだろうか。
元から原画・キャラデの人で、演出の向きではないと思うけれども、今回は副監督に「天地無用! 」や「錬金3級 まじかる?ぽか~ん」の八谷賢一を置いた体制が強力だったと思う。演出やコンテもこの二人の人脈で引っ張って来れた面が大きいだろう。AICやGAINAX、方針なのかGONZO第5スタジオの体制が良かったのか、グロス出しも少なかった。グロスに出したのは第4話のパストラルと、第8話のAICスピリッツだけ。
今まで高村和宏がキャラデや作監などで関わってきた、「まほろまてぃっく」や「カレカノ」などドラマとして燃焼しきった感じがないので、今回は比較的満足できるだろうか。
シリーズ構成も玉井☆豪が抜けても大きな影響も見えず、シナリオ陣もいわゆる「職業アニメ脚本家」くさい人が少ないのが良かったか、癖も少なく話を広げてくれた。
ここで
「WEBアニメスタイル」に高村のインタビューが掲載された5年ほど前の記事
「ガイナックス若手アニメーター紹介(3)」を思い出したのでリンクしておく。同じページに佐伯昭志と芳垣祐介(魔法遣いに大切なこと~夏のソラ~のキャラデ)インタビューもある。
高村の監督作品も良いけれど、再び佐伯昭志と組んだ高村キャラ作品を見たいと思う。でも今のガイナックスでは難しいだろう。このままGONZOが拘束料払ってくれるなら、席を置いた方が良いかもしれない。
ところで、ぢたま某の
「Kiss×sis」第3巻に付くDVDアニメは、高村キャラデだと勝手に思い込んでいるのだが違うのだろうか。
第二期があるのなら伏線の未回収は多いし、やるだけのネタは沢山あるはず。
カールスラント、アフリカ、スオムスの別の部隊の話もできるだろうし、もし同じ時系列で太平洋、東亜大陸などで戦端が開かれれば、また彼女たちが再終結する時があるかもしれない。
次の機会を待ちながら、高村監督はじめ第1期のスタッフにはねぎらいと共に感謝の言葉を伝えたい。



島田フミカネ Art Works 10/25発売予定
(9/23追記)ぢたま某の
「Kiss×sis」第3巻に付くDVDアニメのキャラデは下谷智之(ナイトウィザード The ANIMATION のキャラデなど)でした。監督は名和宗則(D.C.S.Sや乃木坂春香の秘密の監督)
スケジュール的に高村和宏が無理なのは仕方ない。

COMMENT