おそらく自分では気付いているはずなのに、心に隠している感情。
「3人は自分の役割を演じている、おままごと」
表面を取り繕ってねじれた竜児たちの関係をズバリと亜美が指摘。でも簡単にはリセットできないのを承知だから、一刀両断に斬って捨てることもない。
機に乗じて竜児への自分の気持ちも織り込ませてくるのが亜美の可愛らしさでもあるが、自分は傷つかない場所にいて出番を待つ控の役者のよう。亜美をこのポジションに置いた設定が絶妙で、これだけキャラを立たせていても、メインヒロインにならない事が納得しやすい。
そんな亜美を泥沼の関係に落として、彼女の仮面の下にある素顔も見たいと思った「とらドラ!」はクリスマス準備の第18話。
みのりんとの関係はしっくり行かなくて、何となく避けられている理由に竜児が気付いていないだけ。いや、大河も気付いてないか。交際を応援する周囲の思い込みが、本人たちをさらにすれ違いに追い込んでゆく。中高生には良くあることだが、この物語では気付いてしまったみのりん一人だけが痛々しい。
組み上げたクリスマスツリーと大河の提供したオーナメント。それをみのりんの打球が壊す皮肉。
みのりんの動揺の大きさは意外。狙ったわけではないだろうが、心の底に濁りでもあるのか。
「壊れても直る」と言う竜児と「元通りにはならない」と話すみのりん。2人の言葉から省略された主語は全く違うものを指す。
「気付かない」竜児と大河が「それ」に気付いてしまった時、物語は大きく展開しそうだ。
Bパートの大河のモノローグ、クリスマスプレゼントを贈る理由やクリスマスが好きなこと。長い尺で大河の珍しく素直(クリスマスだからと本人は言っている)な気持ちと、幼い頃のささやかな家庭の幸せをフォローしている。その回想にいたサンタは、おそらく例の父親だったであろうことは想像に難くない。
「誰かが見ていてくれる」と自分を励ましたであろう大河が、誰からも見られていないと思う時の不幸は、いかばかりだろうか。ささやかな幸せはどこにあるのか、すぐ近くにある今の大河は気付いていない。
ゆりちゃん先生がまとも過ぎて心配されたアバンだが、Bパートはいつも通りで安心。
竜児と亜美が2人きり閉じ込められる体育倉庫イベントは発生せず残念。
横谷昌宏の脚本と大畑清隆の絵コンテ、演出は大島大輔。クリスマス準備を背景に、違う場面とシチュエーションですれ違いの関係をジグザグに進めてゆく。全体は地味だが、関係が煮詰まる前のピークを上手く切り取って構成している。
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