「東のエデン」は、最終話直前の第10話。テレビシリーズ全11話のあと神山監督が劇場版でどこまで描きたいのか、今のところ伝わってこない。
2クールあれば滝沢と咲およびエデンメンバーとのこと、滝沢と他のセレソンのことを掘り下げられるのに、滝沢の「失われた過去を求めた11日間の記録」でしかないのが惜しい。テレビ編はプロローグだと割切るより仕方ないが、「解決編は劇場で」と暗に言われているようで少々悔しい。
京都駅で滝沢と別れた咲はみっちょんと新幹線の車中。ケータイで滝沢と物部の会話を聞かされる、いや、一応は能動的に聞き役に回る。ここまでで咲のキャラ立てを完全に失敗している気がするが、ノイタミナ枠のヒロインだからターゲットの視聴者層はこれで満足なのだろう。同居する義兄が好きで、でも謎めいた滝沢に惹かれてゆく彼女の表面しかなぞっていないので、咲の行動が不可解に見えることが多い。若者の夢や希望を大事にしない社会や大人に失望した世代を代表させるには、彼女のキャラでは荷が重い。一人の力で戦わず、かといって他人・仲間も信用しない、中二病が蔓延した世界のサブヒロインにはなれるだろう。ここからの挽回シナリオは難しい。







中二病といえばセレソンNo.10の結城のキャラも十分当てはまる。結城を利用する格好のセレソンNo.1の物部はクールに見えるが、やっていることは池田屋で青臭い世直し理論を語る勤皇の志士のようなもの。パンツ板津はアナリスト・評論家タイプだが、物部も同類。経歴と権力に実行力を持った物部の方が始末が悪そうだ。
セレソンNo.2の辻は、元々金は持っていたようだが、理念は感じられず刹那的な態度。この3人が播磨脳科学研究所のジュイス(コンピュータシステムだろう)を手に入れ、8時間後には60発のミサイルでこの国を壊滅させ権力の頂点に立とうとしている。
あの時、滝沢が記憶を消す動機となったのは、助けた人たちと協力した仲間の双方から裏切られたこと。これで滝沢の理念も人格も殺されたわけだ。それを乗り越え、滝沢は再びミサイル被害を阻止しようとするのだろう。物部の誘いを断り貨物列車で、おそらく東へ。
豊洲のシネコン跡に接岸したコンテナ船から吐き出された多数の裸の男たち、滝沢の仲間でもなく信じてもいなかったエデンメンバーと咲。
同じ轍は踏まないだろうが、前回彼を裏切ったオセロのピースが反転するか、滝沢の勝機はそこにありそうだ。
滝沢が断ったことにより、ゲームの上がりは先送りになり、しかもジュイスはたった5千円で新セレソンNo.12により物部たちの前から隠された。全く活動履歴のない12番の正体や、他のセレソン(11番の白鳥しか知らないが)の動きも描かれねばなるまい。残り1話で達成感は得られなそうだ。中二病患者たちの救済で終わっても仕方あるまい。



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