まだはっきり眼に見えないものの、港町レノスで動き始めているうねりに儲け話に思いをめぐらすロレンス。クメルスンでの黄鉄鉱取引では店が出せる程度の金は稼いでいる。
ロレンスにとって土地に根付いて商売をする夢があることは幾度となく出ていたが、クメルスンでのマルクの暮らしを見てさらに加速したのかもしれない。
いつかはこの旅も終わることは頭では理解していながら、簡単には割り切れない賢狼のささやかな望みは、このレノスで昔話を集めて少しの間くつろぐこと。この地の景色は忘れていたのに、「尻尾料理」の匂いが記憶を呼び覚ますとは食いしん坊のホロらしいが、ロレンスの匂いも記憶に留めるとすかさずフォローするから憎めない。
レノスでは飲み食いさせておけば静かに見えるホロだけれども、見た目そのままにのんびりしているわけではない。あれはまだ外敵が牙を剥いていないから、静かに心の中で爪を研いでいる姿に過ぎない。ロレンスはうっかりした姿を晒そうものなら、簡単にへこまされるはず。女狐たちがロレンスをかどわかそうものなら、黙っているはずはない。
情報を拾いにロレンスが一人立ち寄った酒場。そこの娘ヘレーナが予想外にキャラが立っている。キャストは中山さら。町の酒場の女らしく、機転と駆け引きの上手さがロレンスとの会話の中で引き立っている。
ホロがロレンスに付いたメスの匂いをわからないはずはないが、尻尾料理の匂いと食い気に紛れたと思っておけばロレンスも幸せだ。ヘレーナが店の客たちから聞きかじったこの町の状況、北の大遠征中止、毛皮取引、五十人会議などの情報も得たから、酒代とチップに見合う成果なのだろう。






ロレンスはもう一人の女狐、こちらは第2期後半でのある意味主人公のエーブとジョッキを交わす間柄に。リゴロに会わず、五十人会議が終わるのを待たずにニョッヒラを目指し北へ急ぐか、会議が終わるのを待ち春に移動を始めるのか、宿の主人アロルドが語る情報からロレンスは決断を迫られる。
エーブが向こうから声をかけてきたのはそんな時で、泊り客の詮索もせず名前も聞かないアロルドがロレンスの名を尋ねる関係になったことに興味を持ったのだろう。
自分が名前を聞かれたのは5度目の泊まりの時だったのに、ロレンスは3度目だったことも、いたく競争心を刺激したはずだ。エーブは負けず嫌い。
さらに言えば前のクメルスンの町でバトスからロレンスを紹介されたディアナと同じ理由で、人を見る眼が確かな宿の主人アロルドが気に入ったロレンスは信用に足りるとエーブが判断したからに違いない。
予想以上に明るく振舞い、ロレンスと握手を交わすエーブだが、まだこの時はあんな事になるとは想像も付かない。ロレンスはリゴロとコネがあるエーブは渡りに船と思っての行動だが、そのリゴロに会う第一の目的は古い資料を見せてもらうことにあるのであって、教会とも取引のあるエーブがらみで毛皮取引の儲け話に目的がすりかわりつつある。
今までの教訓も何処へやら、賢狼に内緒で商売に首を突っ込んだツケがロレンスに回ってくるか、エーブと組んでひと儲けするのか、結構きな臭いシリーズ後半のスタートだった。
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