忍者ブログ

アニメレビューCrossChannel.jp

アニメのレビュー・感想中心に、アニメ業界の批評もしたり、ゲームレビューしたりしています

   

劇場版 涼宮ハルヒの消失 レビュー

いささか旬は過ぎたのかもしれないが、今月は時間があるので「涼宮ハルヒの消失」を見てきた。ネットで座席指定が可能だったから、せっかくなのでE8の席を選ぶ。他意はもちろんある。再構成・新作追加されたTVシリーズが終わって半年以上過ぎたが、敢えて復習無しで劇場に足を運んだ。



原作ノベルは未読で派生作品やコミカライズなど知らないから、TVシリーズで蓄積した知識しかない状態で臨んでみたが、難なく「ハルヒ」の世界に戻ることができた。
ドラマの「起」は、確かにこれまで見てきた「涼宮ハルヒの憂鬱」の世界。そこでハルヒが今度はどんな事件を巻き起こしてくれるのだろうか、と観客を期待させてくれる。
クリスマス前の街の喧騒とは無関係にハルヒの賑やかなこと、キョンの語りが濃いこと濃いこと。クラスや校内ではモブが過剰なくらい動くし喋る。初っ端からコッテリの過剰演出かと思わせて、二転三転しながら深みでもがくキョンの焦燥感へと観客を誘導し、「これはいつもの事件ではない」と気付かせる仕組みだ。
美術(背景)はTVシリーズよりも描き込まれている。3Dも多用して、カメラが部室の窓から空へと引いてゆくシーンは印象的。街並みやコンビニ、PCなどの小物も手をかけてデザインを起こしている。
総監督に石原立也、監督は武本康弘、演出は複数いるから差異は分からないが、殴ったり撃ったり刺したりのアクションシーン以外にも、キャラクターたちが思案したり悩んだりの演出が細かな点は特筆すべきだろう。劇伴は新規は少ないように感じた。

「涼宮ハルヒの消失」のタイトルだけ見ると誤解するが、別にハルヒが消えたわけではない。今回最大の事件はキョンの周囲の日常が元の世界のものではないということだ。「憂鬱」では巻き込まれ役と言いながら、ハルヒを前に立てて傍観者のような立場の時もあったが、「消失」では長門に対してもハルヒに対しても当事者、主人公として振舞う。
SOS団のクリスマスパーティーの準備が始まった最中、つい昨日までの日常が消失した世界にキョンが放り込まれた。「涼宮ハルヒの憂鬱」で繰り広げられた閉鎖空間を新たに置き換えた出来事と言っても良い。ハルヒはじめSOS団メンバーたちが別の生き方をする消失世界で、アイデンティティを喪失しかけたキョンが元の世界を探し回るドラマだ。閉鎖空間を引き起こしたのは、ある意味では全能の存在ハルヒだった。
この消失世界は長門が「そうであれ」と望んだ、まるで神にのような所業の結果。原作でどう解釈されているのか分からないが、ハルヒの憂鬱と対をなすのが長門の消失と見立てるのは、あながち的外れではない気がする。この「消失」は「涼宮ハルヒの憂鬱」を長門の立場で総決算した総集編だ。

あの「エンドレスエイト」のシークエンスで憂いた表情を見せた長門。「情報統合思念体に造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」の長門が持った「感情」というバグ。そのバグが自らは気弱で人見知りの文学少女に生まれ変わる覚悟で、世界を再構築しようとした。
その点では、朝倉涼子は使命を遂行する誤謬なき優秀なインターフェースだった。
3年前の七夕の夜に飛んだ先で、過去の長門が与えた元の世界に戻る処方。長門が世界を再構築した直後にキョンの対応は朝倉の手で失敗に終わったかと思われたのだが、ややこしいことに更に未来からタイムスリップしてきたらしいキョンが解決したようだ。

タイムスリップが何度か発生し、TVシリーズでのエピソードが頭にあることが前提の構成だから初見では楽しめないだろう。
しかしTVシリーズを見た者にとっては「消失」を見ないと「憂鬱」が完結していないと言えよう。「憂鬱」を締めくくったのは長門の手による「消失」なのだ。改変世界のハルヒは事情をキョンから聞き知ったが、元の世界のハルヒは今まで通りで何も知らずに振舞うだけでいい。長門のバグが解消したとも思えないのだが、これでSOS団は次の面白いことに進むことができる。
この劇場版を挟んだことによって前のTVシリーズを清算し、次のTVシリーズに期待を持つことができた。

涼宮ハルヒの消失 限定版 (Amazon.co.jp限定スチールブック仕様/完全生産限定版)  [Blu-ray]
涼宮ハルヒの消失 限定版 (Amazon.co.jp限定スチールブック仕様/完全生産限定版) [Blu-ray]
12月18日発売


公式ガイドブック 涼宮ハルヒの消失劇場版 涼宮ハルヒの消失 オリジナルサウンドトラック優しい忘却


拍手

 RSSリーダーで購読する
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

(映画)涼宮ハルヒの消失

冒頭の『冒険でしょでしょ』は、懐かしい。この映画がオープニングに相応しかったですね。エンドレスエイトの話題も出たし。

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL(非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS(コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます

新着記事・カテゴリ

メニューバーをご利用ください
古いカテゴリーは順に表示されなくなりますので、お手数ですが記事検索をご利用ください

メールで アニメレビューCrossChannel.jp を購読する

ブログ内検索

プロフィール

・管理者:wataru
・好き:V1046-R MAHORO、HMX-12 マルチ、ぽんこつ、黒オーバーニーソ、メイド
・リンクフリーですが、可能であればサイトTOPにリンクお願いします。相互リンクのお誘いは不精者のため辞退させていただいております
・利用状況の管理と広告表示等の目的でCookie及びWeb beaconを利用しています。Cookieの受入はブラウザの設定で選択が可能です
・商品紹介にはAmazonアソシエイトリンク他を利用しています
・当サイト管理者へのご連絡は webmaster★crosschannel.jpまで(★は1バイトのアットマークに置換して下さい)

Shop Link

Copyright ©  -- アニメレビューCrossChannel.jp --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]