前話の感想で、やなせなつみの演技が千尋に合わないと書いたが、撤回したいと思う。
日記に記したことが自分の記憶に代わる、交通事故で左目と13時間以上の記憶を保つことを失った千尋の純粋な痛みが伝わってくる。
ステージなな同人作品の「ナルキッソス2」の姫子の演技を思い出してこちらの心が痛くなってくる。あの作品の同名の千尋役は後藤邑子だったけど。
SHAFT(シャフト)は「ぱにぽに」辺りから新房作品の表現の場になった感もあるが、その前の動画屋さん時代とガイナックスとの共同制作時代の蓄積を考えると、注目以上には実力を備えたスタジオだと思う。パストラルの協力は欠かせないけど…
それでも最近の「ひだまりスケッチ」とこの作品「ef - a tale of memories.」では新房節全開手前で止めて、新しいSHAFTの方向を感じることも出来る。
「ef - a tale of memories.」は全然方向性もアプローチも違うのだが、「オシャレ」な演出に関してはカサヰ監督・J.C.STAFF制作の「キミキス pure rouge」の真裏に位置する感じ。
目指す方向にイマイチ揃わないカサヰ作品に比較し、新海エッセンスを新房っぽさのアレンジで融合したコンテ・演出は上手く噛み合っている。
但し演出意図ばかり考えていると、本編の筋がわからなくなってしまう難点も併せ持っている。
案の定、青春群像劇風のこの作品では、人間関係が頭に入りにくい。
主人公とヒロインたちのパートがいかに絡み合うか、受身で視聴しようと思う。
珍しくトランス・アーツのグロス回。




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