第1話でのロレンスとホロの出会いと旅立ちから早めに切り替えて、旅のエピソードと二人の過去に触れる「狼と香辛料」第2話。
この作品、二人の洒脱な会話を楽しむのが本道なのだろう。
賢狼の名の通り、ホロの知恵深くウィットに富んだツッコミに、ロレンスのボケで受け止めきれない若さと誠実さの狼狽ぶりを見て微笑んだ後に、現実への立ち直りの早いロレンスの次の商売ネタに繋げる機微のある構成が面白い。
自然崇拝的な多神教の時代から、神の名のもとに語る者たちが跋扈し始める時代の懐古的なトーンをベースに、この世界の空気感を伝えてくれる。
教会が商人宿を兼ね、喜捨の名目での金品の受領が当然のような光景も描き出す。
この舞台設定が絵の中にきちんと反映されて、ホロとロレンスの会話を軽い漫才にしていない理由でもある。
その上この作品、ファンタジーの予想を裏切って古典経済入門アニメーションでもある。
エピソードの端々で、村から村へと商品を通じて価値の移動行為が行われている。水が低きに流れるがごとく、儲けの大きい方へ商品は移動する。その媒介者が行商人。
今回は原始的な為替取引が出てきたが、いかに利益を大きくするかリスクヘッジをするのか、行商の旅をするロレンスの悩みに映して描かれるのだろう。
行商人たちとの取引で事件が発生し、エピソードを追って描くのかもしれない。
今回は葡萄園の園主夫妻や新銀貨発行の噂を根拠に旧銀貨を買い占めて儲けようとする若い商人も登場。この経済的切り口で人々を描き出せればエピソードは尽きないだろう。
そんな行商のロレンスをからかい半分ながらサポートするのがホロ。今のところは狼の力を用いて直接介入しないところが気持ち良い。経験豊かな知識の中からロレンス自身に考えさせることで、問題解決への糸口を与える。
人間の頭を喰う狼のエピソードにはお互い深く触れず、ロレンス自身も狼に襲われたトラウマに少し触れ、お互いの心の底にある一線を描く。決して交わる事のない部分を描き、以降の話の根底部分が崩れないように伏線を張った。
キャラ萌え的な観点ではホロが問題だが、前も書いたが黒田和也のキャラデ好き嫌いで変わる。
ホロの仕草と良く動く尻尾が可愛ければ許せる人はそれでいい(オレのことだ‥)
乳首がないとか無毛だとか、その論議は不毛だから止めておこう。
楽曲はビクターだがエンディングの「リンゴ日和」はキャラ原案の文倉十のカットで構成されたエンディングに似合っている。オープニングアニメーションは頑張っていて、作品の空気感が伝わるが楽曲が今ひとつ。
メディアワークスの商売が残念なのは、元から原作の電撃文庫が好評なのか一般書店に欠品の多い事。ネット書店にも少ない感じがする。
従来から電撃文庫はアニメ関連ショップへの配本は多い気がするが、一般書店への展開が薄い。タイミングが悪いので早急に改善を望む。



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